2007.0611, mon

 日付変わって11日深夜2時前、大仕事の前には中くらいの試練が待っていた。ザ・荷造り(ダイソーか)。

 今回だけは珍しく、自分はほとんど嵩張るものは買っていなくて、RやSや映画祭への土産、iSHAPに渡した資料は消えたしCDは半分以上売れ、拾ったモノもあまり無し、というわけでほぼ現状維持。しかしイマイズミコーイチは葉書セットにポスターにiSHAPグッズに…でやたら紙類が多いし、T氏Hくんはさっきロッテマートで購入した大量の食料品を詰めなくてはならない。特にT氏はビン詰めの液体が多く、と言うことは一つも手荷物としては持ち込めない(今年の3月から100ml以上の液体物は一切機内に持ち込めなくなっている)ので全てスーツケースに入れなくてはいけない、という事実(買ってしまったもの)を前に唸っている。「いいの、いいんです。騙された(誰に)自分が悪いんです」とぶつぶつ呟きながらT氏、それでも何とかスーツケースにそれらを納め、一度開けたら二度と閉められないくらいに膨らんだスーツケースを持って一言「バカ重いぞ、なんだこりゃ」。Hくんは、といえばYくんからもらった手紙(別れ際に僕ら一人一人に小さな封書を渡してくれた)に目を落としてソファベッドの上でしんみりしている。「最後はずっと『ヒョン(にいさん)』って呼んでくれてた」と、誰に聞かせるでもなくぽつりと呟く。

 気を抜いてると寝るのは3時になるな、と思っていたが案の定そろそろそのくらい、シャワーを浴びて、開けたお菓子を平らげて、T氏購入のカエデ入り焼酎のご相伴にあずかりながらお疲れさまでした、全行程が無事に終了しそうです。Hくんだけは僕らより2時間早い飛行機に一人で乗らなくてはならないので最優先で寝ないといけない。それだって3時間くらいしか眠れはしないのだが、彼にとって初めての海外旅行はどうだっただろうか。「全然前知識もなしで来たので、どこに行きたいとか何もないんです」と言うので散々連れ回す格好になってしまったし、疲れてもここで何かを掴み取ってくれたのならそれを上越すものはない、とは思うけれど、もしあったとしてもきっとそれに明確な形を与える為には相応の時間が必要でもあるだろう。取りあえず、実質3日程度の滞在をせめて楽しんでくれたのなら、ヘボなツアコンとしては任務完了です。おやすみ。


本日のお題「片付ける人々」

 今日だけは自分も携帯のアラームをかけて眠ったのだが、あっという間に朝、6時前。Hくんとバス停まで彼を送っていくT氏は既に起き出して(たか?Hくんはまだ寝ていたような)おり、自分も半覚醒のままベッドの上でその様子を眺めていた。やがてHくんの支度が出来、もう出ようとドアの所に立っているので自分はそこで初めてのそのそと起き出して、パンツ一丁のまま(失礼)じゃあまた~とうきょうでね~、とか言ったような気がするのだがまたすぐに眠ってしまった。隣のイマイズミコーイチは全く起きず、それも仕方ないので放っておく。Hくんさいなら、道中気を付けて。

 二時間後、かけ直したアラームが鳴ってもう一度起きた。T氏も部屋に戻って、Hくん見送りついでにアンバサダーホテルで僕らのリムジンバスチケットを買ってきてくれている。全く起きあがらないイマイズミコーイチを揺さぶること数度、やっと起こしてホテルを出る準備をする。冷蔵庫に入っていた飲みかけのお茶やら水やら玉子やらお菓子やらを全て片付け、さて部屋を出よう、という段になって「忘れ物無いすね、無いすか?」とくどくど言っていた自分がクローゼットにシャツを置き忘れていたことに気付く。アホ。フロントで、部屋から掛けた700ウォンほどの電話料金を精算して、あとは映画祭払い、ありがとう。ホテルを出、まだそんなに暑くないけど充分強い日差しの中を3人で歩く。T氏はこの道を都合二往復半していることになる。荷物を持ちながらだとさすがに坂道がキツい。アンバサダーホテルに着いて、僕らの他には誰もいない車内に乗り込むが、一応運転手にチケットを見せたけど何のチェックもされず、バスの腹部に荷物を入れてもらってそのまま乗り込んだ。チケット、持ってないなくても良かったんだろうか。

 バスは来るときに乗ったのとは別会社のやつなので、料金もかなり高い、がそれと比べれば席は上等かも。しかしルートを見たら他のホテルで客を拾っていくらしく、実際にアンバサダーホテルを出ると新羅ホテル、ハイアット、ヒルトンなど無意味にミーハー高級ホテルに止まってばかりでいつまで経ってもソウル市内を出ないのだった。ここでようやくバスチケットを切られる。隣ではイマイズミコーイチが一分の隙もなく寝こけていて、やたら時間が掛かっている事に気付いていない。おそらく30分ほど余計に走ってから(これで高いのは納得出来ねえなぁ)仁川空港に着き、バスの脇から荷物を出してもらっていたら僕らの荷物を出す直前になって運転手がどこかへ駆けだしていってしまい、しばし待つぼくら。やがて戻って出してくれましたけど。


窓の外は多分ヒルトン、たぶん

 まず搭乗券を発券して、時間があるのでどうしようか、何か食べる?とイミグレ手前のレストランフロアを覗いてみるが、どれも高くて量がガッツリしてたり時間が早いせいか閉まってたりするので、じゃいいや入っちゃおう、と入国手続を済ませてそういや、とK氏に付き添っていたGMさんが韓国でつながる携帯を持っていたのを思いだし、掛けてみた。GMさんとGさんは多分30分くらいだけ時間の違う飛行機なので、もしかしたらいるかも、と思ったのだったが幸いつながり、もうこちら側に入っている、というので公衆電話の場所を言って待ち合わせ、しばらくすると2人が来た。ちなみにそろそろHくんの飛行機は飛び立っている頃だろう。5人でフードコートのような所に入って、予想外にでかかったサンドイッチプレートを食べながらしばし、「旅の総括(うそ)」、僕らにとっても初めて他に同行者が居た旅行だったから、なんか新鮮で面白かったのですけど、それにしてももうちっと燃油費が安ければね、なんて。

 免税店で煙草買ってく、というT氏は先に店を出、ぼくらは最後の最後で劇場スタッフRに電話をすることにした。結局劇場で会うばっかりでお別れも出来なかったし、ポストカードの発案者でもありその後一週間連絡をぶっちぎって渡韓直前のメールで「正式なお詫びはまた改めて」とか言われつつそんな話も全然していなかったのでここは一発、と公衆電話からRの携帯に電話。すると韓国に来て初めてRに電話がつながり、うんいま空港、いろいろありがとね、と話しイマイズミコーイチに換わる。何事かしばし話していたが後で聞いたら最後にRから「本当に、申し訳ありませんでした」と言われたそうです。「正式なお詫び」も受けたのでこれにて終了、さて帰るか。


本日のお題その2「寝続ける人」

 大丈夫だよまだ出発まで10分あるし、と煙草喫ってトイレで用を足していたらピンポンパンぽん、「KEXX便に搭乗予定のイワサヒロキさま、至急搭乗口までお越し下さい」などとアナウンスされてしまい、行くよ行くよ、行きゃいいんだろ、と早足で搭乗ゲートに向かい、「おまえたち」といった感じの笑顔で迎えてくれた大韓航空の人に軽く会釈をして機内に入ると、もちろん既に席に座っていたT氏に「おまえら」という顔で出迎えていただく。すいません、呼び出し食らっちゃいました。飛行機では大体寝ていたのでフライトは感覚的にはあっという間。機内食はまたしても肉炒めご飯なので可哀想なイマイズミコーイチは泣く泣く僕のプレートに自分とこの肉を移し、自分のは不健康なほど肉ばかり、イマイズミコーイチのはほぼ、椎茸のみという給食当番に依怙贔屓された小学生みたくなってましたが、あ、iSHAPでもらった燻製玉子があるよ、食べる?

 成田に着いて、家が同じ沿線のT氏とイマイズミコーイチは箱崎までバスで行ってから電車に乗る、と言うので、僕は行きと同じ京成で、しかもスカイライナーじゃない特急(普通運賃で乗れる)でたらたら帰りますわ、とここでお別れをする。始発なので悠々座れた京成の特急に乗り込み発車を待っていたら、隣に座ったおじいさんが話しかけてきて「煎餅たべる?」とこちらの答えを待たずにどんどん醤油せんべいを渡してくる。非常に魅惑的な匂いが立ち上るのだけれどいまはお腹一杯なので、パスポートとかが入ったチャック付きケースにしまって(何でか黒飴もくれた)日暮里までうつらうつら。そんなに時間も掛からなかったし、成田エクスプレスの3分の1以下の料金で帰って来れてしまったので、うむ、お金無くても時間があればいいだけのことですね、と思いました。帰っていただいた煎餅を囓ってみましたが、ちょっと湿気ってました。


東京である


2007.0607 訪韓
2007.0608 第一回上映
2007.0609 第二回上映
2007.0610 クロージング
2007.0611 帰日