『初戀』は現代日本で子供から大人になるということがどんなことなのかを甘く優しく描いた映画だ。繊細でメランコリックながら、見ていてとても楽しい。恋をするというのはこんなにピュアなものだったのかと、おもわず自分の初恋の体験を振り返ってみずにはいられない。ドキュメンタリー・ドラマのスタイルは実にリアルだが、今泉はそこに笑えるコミカルなシーンを加え、またマンガチックな作風にうまく合致したそのカメラワークによって、全体を明るく楽しい物語に仕上げている。
ジョン・バダル(Q! Film Festival ディレクター、インドネシア)
今泉浩一は、イイ男だ。フォトジェニックな顔といい、華のある存在感といい、拙作『世界の中心』にダンサーとして出演してもらったほど。その彼が初監督作品『憚り天使』を撮ったのは、僕が東京国際レズビアン&ゲイ映画祭のディレクターを務めていた1999年。東京のゲイコミュニティをホームグラウンドにして、同映画祭で次々と作品を発表し絶大な人気を獲得しながら成長していく様は、僕らにとって何よりも嬉しい宝物。新作『初戀』では、なんと自分よりもっと(?)フォトジェニックな才能を発掘し、その若く瑞々しい魅力をポップでセクシーな画面いっぱいに、ほとばしり出させている。2008年ベルリン国際映画祭をはじめ、いくつかの海外の映画祭ではすでに大きな評価を受けており、全世界の人々がこのフォトジェニーたちに一目惚れする日も遠くないだろう。
川口隆夫(ダンサー・振付家・第5~8回東京国際レズビアン&ゲイ映画祭ディレクター)
あなたは初恋の味を覚えていますか。恋が何の裏もない、まっすぐなものなのだということを覚えていますか。『初戀』は美しく、しかも笑える、ロマンチックな男の子たちのラブストーリーだ。初めての恋がどんなに甘く忘れがたいものであるかを私たちに思い出させてくれる。探している恋が見つからないと思っているあなた、恋は実は私たちみんなのすぐそばにあるんだよと、『初戀』は教えてくれる。そう信じてさえいれば本当の恋人はいつの日か必ずあなたの前に現われる。等身大の、意味のあるスクリプトによって今泉浩一は再び、本を書く才能、そして映画を撮る才能の両方をこの映画で見せつけている。そして主演の村上ひろしにも注目! 彼はこのグローイングアップの物語の中で実に輝かしい存在感を放っている。
ジョナサン・ホン('InD Blue' ディレクター、 香港)
今泉浩一監督の作る映画は、不思議な味がします。調理法はシンプルなのに、「粗みじん」に刻まれた、彼独特のリズム感、こだわり、世界観が大胆に混ぜ込まれているので、食感や味わいがとっても「エキゾチック」なんです。僕はこの味を「ハバカリスパイス」と呼んでいるのですが、実は、これは食べ慣れると クセになります!最新作『初戀』も、ストーリーの展開から人物設定にいたるまで「ハバカリスパイス」満開です。ご賞味あれ!!
大塚隆史(造形作家)
イマイズミコーイチに初戀をしたのは、彼の自主制作第1作目になる『憚り天使』である。彼はこの作品に自らも役者として出演しているが、天使に扮したイマイズミコーイチの目に惚れてしまった。寂しげで、おびえたような、でも眼底には意地悪そうな光がキラリと輝いていた。イマイズミコーイチの映画監督としての目、そのものだったのだ。
第2作目の『NAUGHTY BOYS』で、監督イマイズミコーイチは、ゲイの恋人達をもてあそぶキューピッド(天使)となった。その目はまるでいたずらっ子のよう。そして、コミカルさ(あらゆる意味での)とシニカルさのバランスが、彼の映画作りのスタイルとなったのである。
最新作『初戀』。彼の目には、これまでとちがう光が宿ったようだ。それはゆったりとしたやさしい春の日差しだ。本作のラストシーンで、春の日差しの中、しあわせそうなゲイ達の姿が印象的に映し出される。
……だが、僕は見逃さなかった。カメラ越しに見つめる彼の目の奥に、意地悪そうな光がまたキラリと輝いたのを。その目を見て、僕はまた、イマイズミコーイチに、初戀を、してしまったのである。
マーガレット/小倉東(ドラァグクィーン/エディター&ライター・おかまとオカルトの古本屋「オカマルト」)
最近も今までも、自分に正直に生きるが、僕の中のテーマなので、 ドストライクに、きました。
映像でしかできないもの、確実にありますね。 じわ~んと、泣きました。
気持ちが晴れて、また僕も何か作ることをがんばろうと思いました。
櫻田宗久(写真家)
いくつになっても、恋をするときにはいつでも「初めて」の部分を残している。しかし『初戀』は本当に初めての時のことを活き活きと、そして慎ましい方法によって見せてくれる。それは特別なまでに罠と不安に満ち、人生に痕跡を残すかも知れず、つまりはまるで興奮と危険の如くだ。
若い唯史のこの冒険は普遍的なものであり、いじめや同姓婚、性行動の相違といったテーマに触れながらまた現在の、日本の若いゲイたちが置かれている状況についての特有な風味を併せ持っている。
ウィーランド・スペック(ベルリン国際映画祭 パノラマ部門ディレクター)
「カワイイ。」主人公の周囲にあるものはみんなカワイイ。少年が夢中になっているプラスティックのロボット、ロボットの図鑑、彼がお店でロボットのおもちゃを見つけた時に見せる学生っぽい表情も、全てが可愛らしい。また珍しいことにこの作品では独創的なカット(主観が第三者の視点に移行する)にも関わらずそれが主題の可愛らしさに貢献している。映画好きの人や映像作家のいずれもがこの、コウイチとヒロキの最新作にたやすく恋をしてしまうだろう。劇場を後にしたら、急にロボットが気になってしまうに違いない。
ジョッシュ・キム(映像作家、韓国)