現(ututu)

ututu01

監督・脚本・編集・効果:鈴木貴士
出演:今泉浩一/ほたる/宮川不二夫/青木佳文/播優太/成瀬享平
撮影:高嶋正人
照明:迫田遼亮
助監督:島田雄二
音楽:小林真由子
(2016年)41分

ututu02 ututu04 ututu03

人里離れた山寺に、絵画修復の依頼を受けた對(今泉浩一)。
その寺に一人で住む住職の荻野(宮川不二夫)。
この寺に住み込みで修復をする對であったが、住み始めた夜に、對だけが見える女性(ほたる)と出会うこととなる。
その女との情事に修復作業が進まないことに苛立つ荻野は、對が見ている幻影が絵画にあると言い、その絵を燃やす。
途方にくれる對であったが、對は幻影でない彼女と再び出会う・・・。

ututu05

監督コメント
この作品は、私が映画美学校を卒業してすぐに撮影した作品で、学校時代に影響を受けたピンク映画やATGの作品への憧れから撮影したものである。
お話としては、谷崎潤一郎の「秘密」という短編を下敷きにシナリオを書きました。
甘い夢と辛辣な現実が混濁するような、作品を撮りたいと思い制作した。
オールアフレコ、16mmフィルムとデジタルのミックス映像、画面分割で動くスプリット線、棟方志功のご子息にわざわざ許可を取って出した裸婦の版画。
語り口に未熟さは見えるが、それとは別に、平成生まれの僕なりのピンク映画への憧れ、映画に対する前向きな実験や希望が感じることができる。
何も知らないがゆえに、あんなことやこんなこともやってみたいと思った。この当時の衝動は、今現在でも映像を撮り続ける推進力を担っているような気もしている。
そして、この作品に関してはシナリオとして省いた部分も多くあった。
せっかく文章を書く機会なので、ここでそれを書き記しておきたいと思います。
大きく抜いたことは、二点。
一つ目は、主人公の對が修復依頼を受けたその時、對の母は危篤状態であったこと。
二つ目は、對が見るほたるさん扮する幻影は、この作品だとほたるさんだけですが、この女性が毎晩違う女性に変わる所。
この二つは、金銭的にそして制作的に当時不可能であったことから削った点です。
これに関して、この作品における上の二点ができなかったことへの後悔はないのですが、未だにこの作品をブラッシュアップしてリメイクしたいとも思っています。
そしてこの作品の、メインキャストである今泉さんとほたるさんには非常に助けられました。右も左も分からない僕に力を貸してくれた二人には、非常に感謝しています。
絡みのシーンなど撮影したことのない私にとって、驚きの連続であったこと、引きの一枚で体位を入れ替えながら男が果てるまでを撮影したのですが、
今思えばこの二人で撮影していなければ何度もテイクを重ねることになっていたと思うとこのシーンの凄さを今だからこそ感じることができます。
誰に頼まれるでもなく、ピンク映画を撮りたかった。
そう思わせてくれた、僕が見てきた作品への尊敬でもあります。
日常の延長線である行為を映像を通して見ることの意義、そしてそれは、ピンク映画をリアルタイムで味わうことのできなった僕が身銭をきってでもやりたかった。
日常の延長線上にある身体表現としての「セックスを撮る」ということから逃げる監督にはなりたくない。という意思表示であったのかもしれない。
そしてそれは今も変わらない。
鈴木貴士