2007.1231, mon

 今日は上映が遅い時間なのでゆっくり起きて、近所にあるというゲイショップを探しに行く。フリーペーパーあった地図を頼りに行くとショップが入っているビルを見つけた。営業中のようだが、扉が開かない。インターホンを押してみるとやがて扉が開いた。入ってみると雑誌とビデオが多いようだが、ビデオはどれも見本のようだ。要は違法コピーなのであるが、奥の部屋でカタログを見て、欲しいDVDを選んだらそれをその場で焼いてくれるという商売のようでした。日本のゲイ雑誌から好き放題に編んだとおぼしき無茶苦茶なアンソロジー、もちろん中国語訳。しかしビニ本なので中身がよく判らない。取りあえずあまり欲しい物はなかったので撤収。

 二軒目は、行ってみたら下着中心のショップでした。北斎の「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」柄のパンツとかありましたがこれをわざわざ香港で買ってもな、と思いつつ眺めていたら店員の男の子(一人しかいない)がててて、とやってきて「哲也」とか書いてあるグリーンのパンツを示し、「一枚買うともう一枚プレゼント」とか言う。ホントか、と思いつつ時間が無くなったので撤収、どうして15年前のマライア・キャリーがBGMでかかっているのかだけは謎でしたが、いい店でした。


大圍駅ホームにて

 そごう前でJ&Hと待ち合わせ。今日はバスに乗ってホンカム(紅+石偏に[勘]で1字)駅まで行き、そこから電車に乗って大圍(タイワイ)駅へ、J&H今日ここに連れてきてくれた理由はいくつかあるのだが、その一つにお寺に行きましょう、というのであってちょっと郊外の街である。駅を降りてすぐにHが「あ」と言って立ち止まるので何、と聞いたら「ここの駅ビルにはまだ合併前のロゴマークがあります、珍しい」とか言って写真を撮っている。最近地下鉄と地上鉄道が合併して一つの会社になったらしいのだが、申し訳ないがああそう、としか言えないのでしばらく待つ。駅を出てすぐにコンビニから見覚えのある人が出てくるなあ、と思ったら昨日インタビューしてくれたアントニーさんでした。お互い驚愕しつつ、「この辺に住んでるので」と言っていました。

 んでもってお寺に行く前にここの名物鶏粥を食べましょう、と向かったものの今日はお休み、残念。仕方ないので「チェーン店ですが、危なげないところでここでいいですか」というので小さめのファミレスのようなところで食事。サンドイッチをくう。店を出てほとんど人通りのない道を歩き(郊外のベッドタウン、といった趣)本日のもくてきち車公廟に到着する。ちなみに仏教寺院ではない。行事のあるとき(旧正月とか)にはものすごく混雑するようなのだが本日は閑散、物乞いの人しかいません。中にはいるとでかい神様がおりまして、その傍らには金属製の風車がある。Jによると「今年いいことが無かった人はこれを回して運気の流れを変えます。逆にいい年だった人が回すと良くないので回してはいけないと言われています」だそうでしばし真剣に悩むイマイズミコーイチ、散々迷った末に「うん、いいことの方が、多かった」と回さずに退出、自分はと言えば元々信じていないものを回しても回さなくても変わらないだろう、と同じく触らずに終了。しかし建物がでかい。


牙を見てくれ

 日が落ちかけた大圍周辺を歩き、川を渡って香港文化博物館という立派な建物(の中)を素通りして、僕らは別の駅近くまでやってきた。沙田(サディーン)という駅に付属の巨大なショッピングセンターに入り、とにかく人が多いのでめげそうになりつつも迷子にならないようにJ&Hの後を付いていく。「大圍を先にしたのは、この沙田が見て判るように近代的な街だからです」とJの解説。中には無印良品とユニクロがセットでありましたが、香港ではどちらかが出来ると大抵もう一方も出来るそうです。「無印は青い色のものがないので、私はユニクロの方が好きです」とJ。センターでは「SEIYU」が「西田」として出店しているというミラクルもありましたが途中息切れがしてJが「ここは美味しいです、食べていきませんか」というヨーグルトのお店に入って山盛りフルーツのヨーグルトをいただきつつしばし歓談。さすがに明日は休日(1/1のみ祝日)だけあってどこもかしこも混んでいる。

 帰りは電車とバスを乗り継いで灣仔(ワンチャイ)へ、7時半から上映があるのだ。まずはブックストアに行って昨日買いそびれた「九龍皇帝」という本を買って階下へ降り、そろそろ在庫が乏しくなってきた物販をテーブルに並べる。今日は「初戀」だけを2回上映なので、最初は挨拶だけ。日本の大晦日とはちょっと気合の入れ方が違うので 、夜遅くだけど結構人が来てくれている。一回目の上映が終わって物販、ポストカードセットがめでたく売り切れました。2回目の挨拶が終わってどこかで飯食べよう、と客入れが終わったロビーで一旦店じまいをしてからJ&Hと出かけて、近くの麺屋に入って注文、辛い麺にもりもり肉が乗ったのを頼んで…Jはまた僕らが絶対頼まないようなものを注文しているなあ。

Q&Aですか。
「大晦日なのに、わざわざ映画を観に来てくれてありがとうございます」とか言ったのは憶えてるのですが。


てっしう

 お疲れさまでした、計6日間のハバカリシネマ全作品上映はめでたく終了、そして撤収。「さてこれから新年に向け、ビルが爆破されますのでそれを見ましょう」と相変わらずな調子でJは劇場付近に出た。この辺りはあまり人が出ていないのだが、海沿いまで行くと既に陣取っている人々がカウントダウンを待っている。っても寒いしまだ時間あるしなあ。でも仕方ないので待っている間にもどんどん人は増えてくる。海岸沿いからは九龍半島・香港島の各ビルが見え、いつものことだがライトアップされている。あーばくはねー、と半分Jの冗談に付き合いつつ、やがて「爆破」の「テスト」が始まった。花火である。

 ビルの先頭から飛び出した閃光は海上の暗闇に消え、何回かに亘っていくつかのビルとシンクロして火が一斉に飛び散る。歓声が上がる。まだ2008年まで20分ほどあるが、やがてなし崩し的と言うか計画通りと言うかで一斉放射が始まった。え、あのビルも参加なの、と途中でやたら増えた出火場所の数の多さに全てを追えなくなってしまい、写真もおざなりに撮っていや、楽しいねえ。中でも一番でかいビルが火を噴いてからのち先端から白煙を出しているさまは射精後のチンコのようでした(イマイズミコーイチが大喜びする)。さてカウントダウン、野外で年越しを迎えるなど初めてですがたいへんです。ひとがいっぱいいます。「感極まってキスとか、そういうベタなカップルとかいないだろうか」と言っていたらホントにいました。バカ。


右端のが

 一旦動き出すと人の流れはどうしようもなく、僕らは押し流されるように夜のコーズウェイベイを徘徊する。途中今夜だけ通れる地下トンネルを歩いたり、年越しで犬の散歩をする人たちが海沿いの公園に集まっているのに微妙に参加しつつどこかでお茶でも、と探すが開いている店はあるものの当然どこもかしこも満席で、やっと豆腐花屋の屋外席(けっこうさむい)に陣取って稲荷寿司の皮だけのようなものや豆腐花などをあけましておめでとうございます。新年っぽく小豆入りにしてみましたが、もちろん中身は豆腐。

 さすがに街中人で溢れているがJに「毎年こうなの?」と聞くと「毎年この時期は事務所にいるので外がどうなってるのかよく知らないんです」Hは「毎年この時期は母と家で過ごすのでよく判りません」だそうでこの人達は香港をあまり知らないようでした。さっき歩いていても「こんなふうに高速道路を見下ろせるポイントがあるなんて知りませんでした」などと嬉しそうに発言するし。

 お付き合いいただいたみなさんにお礼を言って別れてからスーパーに寄り、かなりいい時間になってしまったのでホステルに帰り、ぐったりして眠る。


2007.1227 再び香港へ
2007.1228 いきなりオフ
2007.1229 上映一日目
2007.1230 上映二日目、被取材1件
2007.1231 上映三日目、越年
2008.0101 新正月、大佛
2008.0102 被取材1件
2008.0103 銅鑼灣をうろうろ
2008.0104 帰日