2010.0607 月

10時半起床。お昼前に部屋をチェックアウトしないといけないがフライトは16:45、ちょっと時間がある。ほたるさんは「昨日バッテリー切れで失敗した近所の写真を撮って来る」と早起きして出かけて行った。僕らは一応荷物をパッキングしてから主人(一番上の階に住んでいる)に相談すると「じゃあ空いてる部屋に荷物を入れていいから」と言ってくれたのでそこの部屋だけを新たに暗証番号を設定し直して「1時には戻ります」と外出した。最後まで残ってしまった、と言うほど大したもんではないがギムパブ(海苔巻き)を朝ご飯に、と思ったのだがなかなか見つからない。僕らの記憶はおぼろげすぎ、かつ軽食すぎてガイドブックには紹介されておらず、辛うじて地図に解説無しで名前だけ「ギムパブなんちゃら」と言うのが載っていたのでそこを目指してみる。結構歩くなあ、日本で言うと牛丼屋(というか「おむすびレストラン」か、そんなもんあるか)探して右往左往してるようなもんだろうか、とちらっと思うが今日の滞在はおまけなのでまあいい。しかし暑い。やや迷ったが恐らくここだろう、と入ったお店はたいそう地味で、寂れた観光地の食堂みたいだが(無論韓国語以外のメニューなどはなし)、店のおっさんはこちらが外国人なのを理解してくれて「ギムパブ」と言ったきりあとは身振り手振りで注文しようとする僕らに応対してくれた。出されたのは日本で言うと太巻きくらいの海苔巻き、一本が元の形のまま切られて胡麻が振ってある。付け合わせはタクアンとスープ。もうちょっと具材とか好きに注文できるといいのだけど、とあっという間に食って、他のお客さんはラーメン定食みたいなもの食べてるなあ、と横目でちらと観察してからごちそうさま、で店を出た。


日照強烈

まだ時間があるな、と最後に伝統喫茶に入る。たぶんここは僕らが最初に韓国に来て初めて入ったところ、ギャラリーなどが併設されている。庭が見える席に座ってぼんやりとお茶を飲む。しかしのどかな昼下がり。火曜までの映画祭はそろそろ今日最初の上映が始まった頃のはずだ。パレードは来週なので立ち会えない。今回は友達に会いにきたようなもんだったね、と自分はイマイズミコーイチと話し、ほたるさんHくんはうつらうつらしている。室内は禁煙なのでベランダへ腰を下ろし、その辺に置いてあった陶器と紙ナプキンに水を注いで勝手に「灰皿」を作り(といってもこれが本来の用途、ただし本当はお店の人がやる)一服したのち、さて戻ろうか。

ゲストハウスに帰って鍵を開け、荷物を引っ張りだす。しかしいいとこだった。場所も便利だし。ふと見ると棚にゲスト雑記帳が置いてあり、利用者のメッセージが各国語で書かれていたのでパラパラと読めるところを見ていたら、まあ大体「よかったです」「また来ます」とか書いてあるんだけど「Xの部屋に泊まっていたタイ人はシャワーでおしっこしてました」とかいうチクリコメントもあり、やはり油断はできない。大して親しくもならなかったカザフスタン嬢は僕らと同じく今日出発だったようで既にいなかったが、そういや朝方「私は自分の家でもいつも音楽を鳴らしているの」とか言ってた、今回は別段困らなかったけどもし自分らがフロア(4〜5部屋ある)に1部屋だけの滞在で、他がみんなこの人みたいな集団だったらあんま快適でないかも。逆にフロア全部が自分たちのグループ、とかだったら合宿状態でいいかもしれないね、とイマイズミコーイチ。階上に上がってオーナーにどうもありがとうの挨拶をして、自分らは地下鉄の駅に向かった。


茶の葉、今回はこればかり飲んでいた

行きと同じルートで金浦空港に向かう。車内はけっこう混んでいて4人がまとまって座れる席は無さそうなので、空いたところからめいめい座って行く。と言っても空港に近づくに連れてどんどん人は減って行くのでやがて車内はガラガラになり、着く頃にはほたるさんが熟睡していたので起こして、さて金浦。まずはここで借りた携帯を返却して精算、結局自分らだけが使っていたようなものだったんでイマイズミコーイチと自分で割り、それと昨日の化粧品買った時に数百円くらいの税金払い戻しがあるらしいので手続きして来る、というほたるさんを残して自分らは行きにも入った喫煙所で待つ。やがて戻って来たほたるさんは「手続きはできたんだけど現金じゃなくて後日為替かなんかで送られてくるみたい」ということでそれもめんどっちーね。ええともう入っちゃいますか、向こうにバーゲン会場みたいなのもありますけど、と聞くと皆さん「いや、いい」という返事で出国カウンターへ、並んでる途中で男女のカップルが熱烈にキスしているのを(やむを得ず)真正面から見つつパスポートとチケットを見せて入場し、発券して入ってみたらあれあれあれ、こっちも羽田並みに何も無い。何故かドル表示しか無い免税店に、お茶飲めそうなところは…一つだけか仕方ない、とものすごく混んでいるカウンターで非常に優秀な(日本人慣れしている、とも言う)店員さんにまたしてもギムパブを(だってこれが一番安い)頼んでもりもり食う。席から眺めていたら日本人らしい若い女性が五千円札を出してお店の人を困らせている。そりゃ一応「日本円OK」とは書いてあるけどここは外国、1000円もしない額からのお釣りは出せないだろう。

店は入れ替わり立ち替わり人が来るのでまったく落ち着けないため早々に切り上げ、本当に何も無い搭乗口で待っているとやがて手続き開始、帰りの飛行機でも機内食が出てたらたら食ってたらもう日本上空、ちょっと雲が多いかな、と思って窓の外を眺めていると不意に富士山が見えた。夕陽を浴びて山頂が橙色に輝いている。もう着陸態勢に入っているのでカメラが使えないのが悔しいが、非常にうつくしい。飛行機は大丈夫なのか、というくらい埋め立て地と海の間際を飛んで滑走路に降り立ち、いやあそれにしても羽田は便利だね、というお話でした。


2010.0603 羽田発金浦行き
2010.0604 上映一回目
2010.0605 ぐるぐる
2010.0606 上映二回目
2010.0607 金浦発羽田行き