2007.1126, mon

 午前6時起床。一人だけ早い出立のヒロくん(前回に続き、すまんのう…)を見送りがてら駅でチェックインしてしまうために僕らも同じ時刻に起きる。香港では地下鉄中環駅とつながっている香港駅で空港と同じようにチェックイン(発券)が出来るので、そこで積み込む荷物を預けられるのである。出発が遅い僕らも見送りついでに荷物を預けてしまえばまた戻って身軽だし、席も早めに確保出来る。問題はこのホテルから最寄り駅までの道があやふやな事だけど…と思っていたら昨夜Jは「3人だったらタクシーで行けばいいです。早いし確実だしお金もそんなにかかんないし」とアドバイスしてくれたのでそうすることにした。ヒロくんは全ての、僕らは積み込む荷物を持ってホテルを出、タクシーを捕まえる。運転手氏は見るからに海外観光客な自分らを見て「エアポート?」と言うのだが違う違う「ホンコンステーション」と念を押した。あぶないぼうっとしてたら僕らまで空港に連れてかれてしまうところでした。


グッドモーニング

 香港駅に着いて、チェックインカウンターがあるエリアに入るには機場線(空港まで行く特急電車)のチケットを買わなくてはならない。僕らも半日後くらいには乗るのだけれどそれまで有効だろうか…と若干不安になるものの、買わないことには用事が済まないので100HKD(=約1,400円、高い)の切符を買う。イマイズミコーイチに自分の荷物を預け、ヒロくんに付き添ってキャセイパシフィックのカウンターに並ぶ。えっとパスポート出すだけでいいから…とか言いながら自分はふとある不安を憶えてヒロくんを残しイマイズミコーイチの所へ行って聞く。「そういや自分のパスポート、持ってきた?」部屋を出る時に彼がいつも持ち歩いているバッグを置いていこうとするので「これはいいの?」と聞いたら「いい。置いてくまた戻ってくるんだし」と言うのでそのまま聞き流してしまったのだが案の定その中にパスポートを入れたままにしてきてしまっていた。「どうしようチェックイン出来ない」と顔が紫色になるので「仕方ない、まずはヒロを見送ってから」と列に戻る。さてどうしょっか。

 「めんどくさいから何も預けないで行きます、あ~でもコレだけジャマだから預けられないかな」と会社への土産らしいでかい円筒入りのオレオかなんかを預けようとするので出てきたら粉になってると思うし止めた方がいいよ、つうか積んでくれないんじゃないかな。結局全てを持ち込みにして(元々軽装)チェックイン完了。向こうの方でぼ~っとしているイマイズミコーイチを呼んで、ホントは僕らが次に全日空でチェックインするはずだったのだがパスポート無しでは出来ないので3人でゲートを出る。ヒロくんだけ機場線の改札をくぐり僕らが付き合えるのはここまで、また東京でね、と手を振るが「結局(昨夜は)眠れなかった…」とすごく眠そう。寝過ごして終点の博覧会場(なんか幕張メッセみたいなの)まで行かないように、それとゲイ雑誌をあんま目に付かないところに入れてね、アデュー。


行ってらっしゃい、追っかけて行きますが必ず追いつきません

 さて懸案はウチらである。諦めて戻るというのも手ではあるがせっかく来たし、タクシーでなら往復してもあんま掛かんない(時間もお金も)んじゃない?カギにホテルの住所があるからさ、これ振り回せば着くよ、という結論になってイマイズミコーイチ、「じゃあ行ってくる。お茶でも飲んで待ってて」と言い残してさっきのタクシー降り場で車を拾う。ここはホントは降車専用で、ドライバーも客も拾ってはいけないようなのでなかなか乗せてくれないが乗り場まで行くのもたるいのでなんとか掴まえてやがて見えなくなった。お気を付けて。

 別に飲みたくはなかったのだけれど外の喫煙所にもそうそう居られるものではなく、2人分の荷物を持ってあまりちょろちょろも出来ずに諦念して「アメリカ資本主義の象徴」スターバックスでお茶を買い、店の隅に陣取ってぼんやりクソ熱い紅茶をすする。いつも思うけどスタバのお茶って味ヘンだよね、とか思っても話しかける人も無し。隣では女性が数日前に自分たちが取材を受けた新聞「South China Daily Post」を読んでいてふうんこれに載るのか、と思う。あ~文庫本でも持ってたらなあ。

 思ったよりは早く、ヨレヨレになったイマイズミコーイチが戻ってきた。「じゃ、チェックインしようか」と言うがお茶が残っている自分はすぐに動きたくなかったのでまあコーヒーでも買ってきたら、となだめてしばしおはようのお茶、「なんかタクシーの運転手はすごく丁寧だったよ、行き先を言っただけなのに『イエス・サー』とか言われちゃった」だそうでお疲れさまでした。やがて気を取り直してチェックインカウンターがあるエリアに再入場しようと切符を入れたら(機場線の切符が入場券も兼ねてる)ゲートが開かない。やっぱ一旦出ちゃうとダメみたい。仕方ないので他の人が入る隙に便乗してしまいました。ここさえ入れれば改札は別なので大丈夫であろう。全日空のカウンターが空いていて、しかも誰も並んでいないので一等に手続をしてもらう。係員は現地の女性だが僕らが来た時間がフライトに比べてあまりに早すぎるせいか、いちいち何かを確認している。やがて搭乗券を渡してくれたがあんまりうまくない日本語で「トウジョウジカンハ XジXXフン、トウジョウグチハ イマハ ワカラナイ」と非常にダウナーな感じで言われてしまって腰が砕ける。英語で言ってくれればああそうですか、で済んだと思うのだけれど。


香港IXY

 荷物も預け、最初の予定では九龍側に電車で行って牛乳プリンでも、とか言っていたのだがイマイズミコーイチは精根尽きており、「ホテル帰って寝たい、牛乳プリンは諦める」と言い出したのでじゃあ帰ろうか、と電車に乗る。地下鉄までの乗り換えがまた遠いのだが丁度通勤時間らしくて異様に人が居る。電車に乗り駅に着いたがまた道がよく判らなくて不安なまま地図を頼りに歩き、やがてランドマーク「そごう」が見えてきたのでああ良かったこっちだ、とホテルに無事帰還できそう。安心してじゃあ、と自分はパン屋でサンドイッチを買い、スーパーに寄ってお土産の追加を探すが空振りして部屋に戻った。部屋に戻るとイマイズミコーイチはすぐに寝てしまい、自分はさっき買ったパンをイマイズミコーイチが買い置きしてあった大量の牛乳をいただきつつ食べる。チキンサンドみたいなのはうまいが、なんで外側のパンがメロンパン(もちろん甘い)なんだろう…。ツナサンドはちょっとダメな味でした。なんか生利みたいな味(やっぱほんのり甘い)だけど、これはカツオなのか?

 食べ終わって自分も寝る。やはり横になるとあっという間に寝入ってしまいますががががが、どのくらい時間が経ったのか、曖昧な意識の中で電話が鳴っている。起き出してイマイズミコーイチ側にある受話器を取ると「ハイグッモーニン、Jです。寝てました?」と快活な声。はい寝てましたが大丈夫ですよ、どうしたの?と聞くと、「ヒロさんの部屋はチェックアウトしてしまいましたか」と言う。まだだけど、と答えると「ああそれならお願いがあります、私とHは昨夜事務所に泊まったのですがあそこはシャワーがないので空き部屋の浴室を使わせてもらえませんか、今日は暑くて」とのこと。今日は暑いかなあ、とは思いつつも問題はないので「じゃあ11時までに行きます」と約束をして自分は半覚醒のまま眠れも出来ずにベッドでごろごろしていた。

 やっぱ遅刻気味でJ&Hはやってきた。すいません下着姿ですが、とヒロくんが使っていた部屋のキーを渡し、やがてイマイズミコーイチも起き出した。こっちもシャワーを浴びて荷造り、と言ってももう手持ち分しかないのですぐに済んでJ&Hを待つ。が約束の時間になっても来ない。12時チェックアウトだからそろそろ、と部屋をノックすると髪型もバッチリなJが出てきて「いまHが入ってます、ちょっと待っててください」だそうなので待つ、この人達はいつもギリギリ、かやや遅刻だなあ。


J&H事務所屋上より

 ホテルをチェックアウトして若干の精算をして(いつぞや部屋からJの携帯に掛けた4HKD)あとはJ&H事務所と映画祭が出してくれるそうなのでありがたくいただく。ホテルを出てJが「お二人はチーズ好きですか」といきなり聞くので「好きだけど、なんで?」と聞き返すと「この辺に有名なチーズヌードルのお店があります。行ってみませんか」ううむ、何だかよく判らないけど付いていくことにした。連れて行かれたのはよく見る感じの食堂、でもまあ名物だというそのチーズヌードルでいいよ、とお任せにすると「上に載せる具材が選べます。ベーコン、ソーセージ、ポーク、卵」とかで全然野菜がないが「じゃあベーコンとポーク」イマイズミコーイチは「ソーセージと卵」出てきたその「チーズヌードル」は要はカルボナーラソースのようなものが決してパスタではない麺にかかった料理でした。イマイズミコーイチなんて生卵乗ってるからまんまカルボナーラですな。旨いが、4人の食べてるもの全ての中にまったく野菜が含まれていない、というおそろしい献立ではありました。お昼時だからか、外では女子高生のような制服の女の子が空席待ちをしてましたがコレ、毎日食ってるのかなあ。

 時間が半端に余っているのでもう香港駅に行っちゃいましょうと話はまとまり、再びタクシーで朝と同じ辺りへ。着いたらどこかでお茶でも、と言っていたのだけれどやはり時間が時間なのでどこも混んでいる。仕方ないので(すごい風だったけど)外の中庭みたいな所でたらたらお話をする。12月もまた上映(今度は全作品)あるからねえ、宣伝とかしないとね。今年はここで年越しになると思うけど、香港の新暦正月ってどうなんでしょうか。やがて時間になった。行きましょうか、と促されてショッピングモールになっている建物内を歩いていたら急にJが伝統菓子の店みたいなの(鳳凰巻とかパイナップルケーキとかをディスプレーしてる)に入っていき、しばらくして手ぶらで出てきたが「どしたの」と聞くと「ここに以前パンダサブレがあったので、まだあればお土産に買おうと思ったんです。あなた方が私達の事を想い出せるように」なんだそうでしたが大丈夫っすよ忘れません、そんなもの無くても今度(来月)来るまでになんて忘れられるもんじゃありません。

 さっきヒロくんを送った改札まで来て、今度は僕らが送られる番だ。お互いあまり抱擁が似合う人種ではないのだがJ&Hとそれぞれぎこちなく抱き合って、ありがとうありがとう、また来るよ(本当)と言ってハローグッバイ、多謝。


またパンダだ…


2007.1121 香港へ
2007.1122 第一回上映、オープニングパーティー、取材1件
2007.1123 被取材4件、第二回上映(追加上映)、取材1件
2007.1124 取材1件
2007.1125 被取材1件
2007.1126 帰日