2008.1107 sexta

朝ご飯は7時から10時までだそうでそれでは、と7時台に行ってみる。朝食は「Be Happy Café」で、とあるのでそれはどこだ、と標識を頼りにプール脇を抜け、複雑な構造になっている建物を何度か曲がってここかな?食券を出してみたら「いや、ルームキーを」と言われたので出すと部屋番号を控えられて食券は不要、昼夕食だけらしい。カフェといいつつかなり広くてものすごくたくさんのパン、ジュース、フルーツ、シリアル、チーズ、ハムが山積になっている。隅っこでは卵を焼いてくれているのでイマイズミコーイチが「目玉焼き、って頼んだんだけどなんか通じない」というので自分は行ってみると具沢山オムレツを焼いていたのでそれでいいじゃん、ともらってきてついでにワッフルもあったので山盛りバターで頂く。ブラジルはバター不足になっていないのか、それはいい。そしてパンがたいへんうまい。

部屋に帰ってちょっと寝て、さてどうしようか、あ〜アルに電話しなきゃでも仕事中かも、と思いつつダイアル。今日は一発でかかり「ダイジョブダイジョブ」と言いながら今日の予定を相談した。「仕事はお昼で終わりだから、タクシーでホテルまで迎えに行く。レセプションで3時に会おう」終わると言ったのか終わりにすると言ったのか、平日なのに早上がり、いいなあ。ランチまであと1時間半、泳ぐかと部屋を「プリーズメイクアップ」にして出かけ、昨日見かけたプールに向かう。プールは競泳用でコースが張られ、片側はずいぶん深そうだ。たぶん併設のフィットネスクラブの会員だと思うのだが結構な人数が泳いでいて、やがてインストラクターらしい人がホワイトボード持って来て練習メニューを書き出す、みんな真面目に泳ぐ、僕らどうしましょう。空はやや曇り、陽が陰ると寒く感じる。でも泳げなくはない温度なので浅いところから水に入ってみる。うむ、冷たい。でも入ってしまえばたぶん、と泳ぎだしたら水の中は気持ちよく、そして片側はたいへん深くてぶくぶくぶく。イマイズミコーイチはあまり水に入らず、プールサイドで昼寝をしていた。フィットネスの皆さんの邪魔をして1レーン使ってしまうチームハバカリ。


でかいほうのプール

部屋に戻ると掃除がされていて、シャワーを浴びてからレストランへ向かう。とそこへ昨日の日本語を話す女性が現れて「よく眠れましたか?」と話しかけてきた。はい、と答えると「そうですか、あなた方に会わせたかった人は今いないのですがまた後で」と言い、相変わらず正体が判らないながら「そうそう、この人は日本の方ですよ」とか何とか言ったのか男性を紹介され、よく判らないまま名刺などを交換してみるとどうやらローマで通訳をしておられるようですが、どうして今回こんなにイタリアに縁があるのだろう。『初戀』を観てくださったようでちょっとだけご挨拶するが、僕らがアルとの待ち合わせ時間が迫っているので早々に失礼して、ではまた。しかしこの女性はどなた。

待ち合わせの時間はちょっと過ぎている。普段あまり遅刻しない自分たちだが(待ちぼうけ率、高し)今回はでもまあ相手も時間に正確か知らないし(彼とは東京に居た頃に知り合ったのだが、個別に待ち合わせたことほとんどなし)、ブラジル人は時間にルーズとネイが言っていたのでだいじょーぶじゃないー、と根拠の無い理由で悠々とレセプションに行ってみるとあ、ゲート向こうででかい人が手を振っている。やべぇオンタイムで来たよすいません。という感じは一切出さずにキャーここは暑いねー、とかいいながら抱きつく。久しぶりに元気そうな顔が見られてうれしい。

「タクシーを待たせてあるから行こう、オッケー?」と言うので乗り込み、一日半ぶりにこのテニスリゾートを脱出、車は空港から来た時のような道を走っていたがしばらくすると建物が見えてきた。相変わらず平原にぽつりぽつりといった感じではあるが、アルが「あの建物でブラジルデザイン展をやっていたので見せたかったんだけど昨日で終わってしまった」という。「あの建物」は美術館だそうです。東京に居た頃は全然日本語を話さない人、という印象だったのだが今回は最初から日本語がどんどん出る。「ホント、ホーントニキタ、ウレシイ」と車内で何度も言うが「ホーントニ(アクセントは語頭)」というのが口癖のようです。以後「  」内が全てカタカナ表記になったときは彼が日本語を話している、とご理解ください。ちなみに結構高い声です。


くどいようですがホテルを一歩出るとこんな

「着いた」と大きな建物の中にタクシーは止まり、この人は政府機関で働いている(らしい。ブラジリアで何をやっているのか最後まで詳細解らず)のでこの辺りが「職場」ということなのだろう、複雑に入り組んだ建物の中で階段を上ったり下りたりしながらすれ違う人がかなりの確率でアルに「ハイ」と声をかけていく。ひょっとして人気者か、でかいからな。そのうちゲートのある入り口の前まで来て、受付の人が「身分証か名刺を」と言うがどっちも持ってきてない、と言うとアルがなにやら言ってくれて「オッケー」と臨時入館証みたいなシールをくれて、ぼくらはそれぞれ服に引っ付けた。

更に建物の中を進むとやたら駄々広いところに出て、またゲートがある。規模はでかくて何にもないが印象としては市立図書館という感じ。販売している本のサンプルらしいものが書架に立てかけてあるが「出稼ぎ」と日本語で大々的に書かれたものがあってなんだこりゃ。待つことしばし、スーツを着た男性が2人やってきた。「ガイドをしてくれる。英語なんだけど、いいかな?」いいも何もこれからなにを見るのか知らないので取りあえず「うん」と返事をするとメガネをかけたヒゲの男性が「では」と解説を始めた。「まず写真はこのフロアでだけOKです。上に行ったら撮らないで下さい」はい。「ここは海外から来られた大事なお客様をお迎えする建物です。そこに階段が見えると思いますが(中空に浮いたような螺旋階段がぽつんと設置してある)、ここにカーペットを敷いて貴賓が登ります。あ、日本のプリンスも最近来ましたけれど、プリンセスは来ませんでした。」はい、その辺の事情はまあ…。

ようやく我々はどうやら(日本で言うと)迎賓館のようなところに現在おり、アルが手配してくれたらしいガイドさんが案内してくれようとしている、ということを遅まきながら理解した。そうですか「僕の職場見学」というのはこういう意味か。二階に登るとまただだっ広い。壁にはスリットのように裏へ回る通用口があって、「お付きの人が車で乗り付けてそのまま出入りできるようになっています」ほほう。大広間の片わきにはブラジルにとって大事な聖人ドン・ボスコの絵が描かれたシンプルな祭壇があって(これがとてもよい)、とにかくとてもシンプルと言うか土地が余ってるというかなのだが、ガイド氏は更に僕らを更に上層階へと案内した。一転してうす暗い部屋にはまず巨大なカーペットが敷いてあり、上にはまた流木を組み合わせたみたいなシャンデリア(としか言いようがないが1.5tあるらしい)、そしてでかい調度品。「このカーペットは世界最大です」ほええ。途中いくつかの間があるがそれぞれ取り合わせに理念があるようでオブジェ、絵画、家具などは古いものから新しいものまでを取り合わせている。自分にはその混ぜ具合がうまいこといっているのかよく判らない部屋もあったが、一番強烈だったのはある部屋に掛けられた2枚の絵画、誰の絵ですか、と聞くと「ポルチナーリというブラジルの有名な画家によるものです。」後で調べたらサンパウロで入りそこなったMASPにも作品が所蔵されているようでした。


屋上から逆光

さらに屋上中庭に出てブラジリア中心部を眺め、ここでは写真撮っていいとのことで記念撮影をしてから(そこにある裸婦像については説明してくれないね、とイマイズミコーイチ)まだまだ部屋があります。「こちらは晩餐会をする部屋なのですが3つあります。ブラジルは現在までに2回首都が変わったのですが、現在までの3都市になぞらえているわけです。最初がサルヴァドール(バイーア)の間、ここは小さな部屋です。家具などもバイーアから取り寄せました。」最初の間はなんか家庭のダイニングキッチンみたいで落ち着いて食事ができそうでした。天井に何かでかいものが吊るされてました。「次がリオデジャネイロの間です。壁には当時のリオを描いた地図などを飾っています。中にはかなり貴重な資料もありますよ」ここはシンプルで明るい。席数は隣の部屋よりずいぶん増えていて、長いテーブルが部屋の半分を占めている。「最後がブラジリアの間です。日本のプリンスが来た時にもここで歓待をしました。置いてあるピアノはスタンウェイですが、とても古いものです」ここはたいへん広く、全面にはカーペットが壁画のようにかかっている。正直これには圧迫感があってかつ部屋が寒々しい感じなので、断然前の2室の方が好きでした。そういえばイマイズミコーイチはトカゲを描いた絵を見つけて「トカゲってブラジルでは何か特別な意味合いがあるの?」と若干期待を込めて訊いたところ「いや別にないですよ、そこら中にいるだけで」と言われてしおれていた。

さっきの「世界最大カーペット」のところをずかずか踏んで歩いている人がいるが僕らは一応踏まないようにして、さっきのところに降りてきた。ガイドさんにありがとうを言って(ずっと一緒に居た隣の男性は同僚なのか客なのか不明)、同じフロアで現在開催中のインテリアデザイン(家具や雑貨)の展覧会を見たり、さっきもガイドさんが上から見せてくれたのだけれどアマゾンを再現したという池に下から近寄ってみたりして、なんだか力が抜けて和む。「じゃあ外へ行こうか」とアルに促され、さっきの受付までも戻って今度は違う出口(池の上に道が続いている)を抜ける。「さっきの入館証、外してね」というので指差した灰皿にシールを丸めて捨てて、建物の外側に出た。とにかくいい天気なので気分がいい。アルは「あそこが外務省であそこが通産省であそこが…」といった感じで解説をしてくれるが段々よく判らなくなってきた。ブラジリアに来たらまずは建物見とけ、というのは聞いていたので大人しくアルについていく。さっきの「パレス」から坂道を下る。さえぎるものが何もないので地面近くの空の分量が半端ではない。やがて左手に議事堂(上院と下院)が見えてきて上向きと下向きの白いおわん。の間に一対の細いビルが立っている。


おわんが見えてまいりました

それを通り過ぎて三権広場に到着する。司法(最高裁判所)立法(国会議事堂)行政(大統領府)の3つがあるのでこの名があるが広場はほんとに駄々広く、それぞれがすごく離れている。バス停のところでアルは水を買おうとしたらしいが「タカイタカイ」と止めていた。ここにはその他の国旗掲揚塔(風が強くて破れるので一ヶ月に一度交換するそうで、言われて見ると台の下には次の旗がスタンバイされていた)、巨大木製洗濯バサミみたいなハトタワー(鳩が住んでいるが設置理由は不明)などとあるなか地下に入ってルシオ・コスタ(ブラジリアの都市計画を立てた)記念館を見学、鳥というか飛行機のような形をしている都市のジオラマを眺め、途中子供が大量に入って来たのでたいへん騒々しくなったがぐるりと一周して出た。イマイズミコーイチは「この街はなんかいいねえ、ヘンなとこだねえ」と気に入った様子である。大統領府に向かう途中にあった何かのモニュメントに差し掛かるとアルが突然「バカ、バッカァ」と叫ぶのでどうした、と聞いてみると「ポルトガルゴダケ、ゼーンゼンエイゴナイ、ホーントニバッカ」と言うので要は説明文に英語が併記されていない事に怒り心頭のようでした。確かに英語はあんま通じないが。

大統領府の隣を過ぎたあたりで「バスに乗ってショッピングモールへ行こう」と言う。サンパウロでは結構な思いをしたので今回は心構えができてるもんね、と乗り込んで、やはりゲートをくぐって後部座席へ。車掌さん(運賃徴収係)は別に東洋人が珍しいわけでもないだろうが、ずっとアルと話す僕らを興味深そうに見ていた。帰りの車中でカポエイラのサークルらしい4人組を見かける。ビリンバウ持ってる。おお、と言っているとアルが「週末は公園とかでやってる人多いよ」と教えてくれた。着いたのはバスターミナル、ここだけはごちゃごちゃしていて小さい商店や軽食の店などがある。「荷物に気をつけてね」と初めてアルが僕らに注意するので僕らははい、と返事をしてとてとて付いていく。「ここのトイレはハッテン場だけどとてもバッド、危ない。行ってはいけない」とブラジリアゲイ情報を挟みつつエスカレーターで上へ、バスが走って来た道と立体交差になっている上の道路沿いにモールがある。最初にソフトクリームを買って食べながら店をぶらぶらして、ちょっと休もうか、と喫茶店というかジュース屋に入る。それぞれジュースを頼み、アルが玉蜀黍のケーキを頼んでくれてあ、おいしいねコレ。さてここでやっと彼にお土産を渡すタイミングが来た。日本にいる時に彼をよく知る人に「日本土産で何を持っていったら喜ぶかな?」と聞いたところ「ラー油」という返事が速攻で返って来てあれは日本のものだろうか、というかブラジルでは買えないものか?と思いつつよく聞いてみると「潮州辣椒油(具入りのラー油)」でした。ますます日本からは遠ざかるが好きだと言うのなら持っていきましょう、と近所のスーパーに行ったら普通に置いてあり、ちいさいのとでかいのとがあるなあ、荷物が…と思いつつやはりでかい人にはでかいヤツを、と「業務用」と書かれた335ml入りの方を選んで、何重にも梱包してミラノ、サンパウロ、と後生大事に持ってきたのだった。さて。


バスは"onibus"、発音は「オニブス」

アリタリアのナプキン(みどりいろ)に包み直した瓶を渡すとアルはそれをちょっとめくり、「ア?」と言ったかと思うと「アアアアアア」と満面の笑みになって「ホーント、ホーントニ?」と5回くらい繰り返したのち瓶に頬擦りする勢いで小躍りして喜んでいる。あ、当たりか。「ホントニコレスキ、デモブラジリアデハカエナイ、ホーントニウレシイ」ラー油一本でこんなに喜ぶ人を見るのはおそらくこれが最初で最後だろうが、何はともあれ好きなら良かった。Tくん教えてくれてありがとう、さすが。「パンニヌッテタベル、ホーントニオイシイ」と言われた時には「む?」と言ってしまいましたが、まあ好きなようにお使いください。「コレハダイジ、ホーントニダイジ」と言いながらアルは自分のリュックに注意深く瓶をしまいました。

今日も9:20から上映があるのでその前に戻らないといけない。自分は7時からの映画を観たかったのでそれまでに戻りたい、と言うとアルは「そうか、今日の上映はちょっと時間が遅いので、僕は明日観に来る」と言う。あ、ここのモールには国際キャッシングできるATMがあるかな?と聞くと「した事無いけど、聞いてみる」とまずは銀行に入るがここのATMは国内の口座だけらしいので係の人を呼んで聞いてもらうと別の場所にある、ということで言われた方に行ってみると何だか長蛇の列、しかも店舗外。こっそり機械を見てみると自分のキャッシュカード対応のようだったので並ぶが先頭のグループが操作方法でもめていて全然進まない。散々騒いで「ダメ」ということだったらしく更に何人かののちに自分達の番、カードを差し込んで読み取らせてから抜き、英語案内を選んで暗証番号を入れ、希望の金額を押すとあっさり現金が出て来た。借金ではあるが手数料も安いしレートも銀行よりいいのと、帰国してすぐに返せば利子も小額なので、円の換金レートがよくない国ではこれが一番いい、という事でした。

最後にビールとか水とか買いたいと言ったらどうやら地下にあるみたい。行ってみると電化製品売り場が大半でしたがわかりづらい感じの入り口の向こうにスーパーのようなもの、ただし生鮮はなく食品は飲み物とお菓子が大半でした。あとは衣類とか雑貨です。旅先でいつも行くようなスーパーからすると不十分だが今回はこれでいいので飲み物とお菓子を(プリングルスがものすごく高いので買わない)買って長蛇の列を並び、お会計。タクシーでホテルに戻ってギリギリ7時、一旦部屋に戻って、イマイズミコーイチは部屋で休んでから行くと言う。じゃあ9時に劇場前で、今日は映写チェックの約束をしているので早めに、と約束して自分は一人で劇場に向かった。観たいのはブラジル映画の長編、ドラマらしいが解説文を読んでもさっぱり話の筋が判らなかったので観てみる事にした。監督が来場していたらしく+出演者で挨拶、なのはいいんだが元々開場が遅れた上に更に押す。これは観終わらないかもしれない、と思いつつ映画がスタート、あ、英語字幕が無い。これ国際映画祭じゃんよう、と言いたくなるのを押さえて鑑賞。話の筋は、と言えばやっぱり30%くらいしか判らなかったが色々うまいこといってない皆さんがとある非合法なことやって一発逆転、というのだった(ようだ)。案の定クライマックスシーンで時間切れになり自分は渋々劇場を後にした。せめて英語字幕付きでもっかい見られる機会はあるのだろうか。


あわてて撮るとモダン建築も何だか

さて自分達の劇場前にいくとスタッフの子が自分を見つけて「ハイ」と笑う。今日もよろしく、と挨拶すると昨日とは別の女性を紹介してくれ「今日の通訳さんです」ということでしたこんにちは。「昨日のAさんに紹介されて来ましたSです。Aさんの同僚です」と言う事は日本大使館の方ですね。早速ですが映写チェックをしたいので付き合ってもらえませんか、と途中で合流したイマイズミコーイチ(部屋で寝ちゃった…とつぶやいている)と階段を上がって裏の映写室へ、暑くて暗い部屋の中に技師さんが数人いて既にテスト映写を始めている。が、やっぱり画面が横につぶれている。シネマサイズではないので4:3でお願いします、と言うのだがなかなか簡単にいかないので「バックアップのDVDを持ってきているけど、それと替えようか?」と聞いてもらうと「実はポルトガル語字幕をつける目的もあって一度HDに取り込んでいるんです。だから差し替えは出来ないのです」ということなので、ではこのセットで頑張るしか無い。PCを何だかいろいろ操作して、プロジェクターの調整もして…とやっていてやっと画格がオリジナルになった、と思ったら今度は絵が上下にはみ出している。でかくなってしまったらしい。これもまたズームで何とかなると言うものでもないらしく、既に開場時間は過ぎていてかなり押してしまっているので若干のはみだしは大目に見る事にし、「オッケー、ありがとう」と言って階下に降りた。

昨日と同じように最初にご挨拶、終わりにQ&Aやります、と言って最初だけ観てから(まあ、許容範囲)僕らは劇場の外へ出る。通訳Sさんには是非ご覧下さい、と残っていただく事にして昨日は食べ損なった夕飯に向かってゴー。暗くなってるので昼間とは雰囲気が全然違う。中に入ると昼間もお会いした「どなたでしょう」の女性とローマで通訳をしておられるOさんがいて、Oさんと食事をご一緒させていただくことにした。ピザを頼んで(Oさんが「ここのピザは合格ですよ」と言う)いろいろお話をするうち、ようやく判って来た。さっきの女性はここのオーナー兼映画祭主催者と結婚しているイタリア人で、日本にいた事もあるらしい。彼女(ドナテラという名前、という事が今さら判明)自身も映画祭のスタッフで、Oさんは、と言えば今回のコンペティション部門(「初戀」も含まれる)の審査員の一人がまた日本文学研究が本業のイタリアの方で、彼と一緒に来たという事でした。それでイタリアンレストランだの日本料理屋だのがあるのだろうか。そして僕らのチケットがイタリア経由なのも彼女の采配でしょうか。判った事と更に判らなくなることが半分づつになりながらもOさんの言う通りピザはうまいのでここでの夕食はなかなかいい。


いそげ

Oさんと話していてそろそろ上映終了時刻になり、3人で会場に向かった。まだなので前のソファーでたらたら話をしているとやがて終わった模様、じゃあ行くか、と思ったらお客さんが次々と出てきてしまって僕らを見るとニコニコしならがら「良かったよ」とか言ってくれるのだがあれ、Q&Aは?と思っているうちに通訳Sさんが出てきて「みんな帰っちゃいました」、あはは。忘れているらしい。やっぱエンドロールがきちんと終わってからやりたいとか言っているとQ&A自体が飛ぶ。妥協することにして、明日は早めに場内に入ることにしよう。ブラジルの人「も」見ないそうですエンドロール。

通訳Sさんは「映画、よかったです。私もゲイと知らずにデートしてしまったことが二度ほどありまして」と昨日のAさんとはまた違った感じでゲイにまつわる思い入れがあるようでした。せっかく来ていただいたのに申し訳ないですが、「いいえ、映画が観られただけでも」と言ってくれるのでまずは安心。Sさんは興味があるので観たい、と来てくれたと言う若い男の子を紹介し、彼は映画を気に入ったと言ってくれていろいろ質問をされた。なんか日本のインディペンデント映画、というものにとても関心があるようだった。すごく若そうに見えたがバイトなのか就職しているのか、上院議員のスタッフをやっているそうでイタリア系なので、イタリア語も、ってまたイタリア。ここに来るんだからいいとこの子であろう。Sさんに明日も?と聞くと「それがよく判らないんですね、Aさんが来ると思うんですけど」と言ってイタリアくんとタクシーで帰っていかれました。僕らも部屋に戻って缶ビールを2人で一本くらい空けて寝ます。そして明日の朝ご飯のために起きます。


2008.1103 ミラノへ
2008.1104 サンパウロへ
2008.1105 サンパウロで
2008.1106 ブラジリアへ、上映一回目
2008.1107 ブラジリアで、上映二回目
2008.1108 ブラジリアで、上映三回目
2008.1109 ブラジリアで、クロージング
2008.1110 ローマへ、帰日