2014.0922 hari Senin

 引き続き朝食問題である(くどい)。昨日より早く例の朝食ルームに行ってみたもののやはり閉まっており、これはうむむ、とフロントに聞いてみたら「バウチャー持ってますか?」とか訳の判らない事を言うのでへらへら笑いながら「いんや」と答えてみると優秀そうなフロントマンはさらさらと何やら紙片にサインして、「下のカフェでこれを渡せば朝ご飯が食べられます(さっさと行け)」と仰るのでううむ何だか4年前もこうだったようなそうでもないような(こういうのは初日のチェックイン時にするんじゃないのか)、とエスカレーターを降りると5分後にはあっさり朝食にありつけました。ご飯はごくシンプルに白飯とお菜2品を好きだけ盛って、あとはコーヒーか紅茶を運んでくれる、とそこへファリドからメールが入って「すみません、今日はエドゥアルド達も空港に送っていかなくてはいけないのだけど君たちを空港に送って戻って、だと間に合わない恐れがあるので別の車を手配した。待機させているから準備ができたらメールしてください」だそうで大変。手早く食べ終わって部屋に戻り、あらかた荷造りしてあった荷物をまとめてチェックアウトする。フライトが10時だから余裕、とか思っていましたがそうでもなかった。ホテルの駐車場には到着時にも運転してくれた男の子が来てくれていたので乗り込んで、空港へ。


アライバルではありません

 今回は国内線なので3番ターミナルで機械チェックイン(帰りのチケットも出せた)。行く前は「ジョグジャに行ってる間に要らない荷物は預かってもらって軽装で行こうかね」とか言っていたのだがエアアジア・インドネシアの国内線は「積込み荷物なし(タダ)」オプションが無く、仕方なく一番安い15キロにしていたのが成田を出る時に量ったら12キロくらいだった(イマイズミコーイチは元々積込みなし)ので全部持っていく事にする。結局そんな渋滞でもなかったので空港で結構時間が余ってしまった。喫煙エリアは外らしいので一旦出てお茶など買ってぼんやり過ごす。再度セキュリティーチェックを通って空港内へ、モダンで綺麗だけどチケットに書いてある番号の場所には搭乗ゲートがいっぱいあり、どこから乗り込むのかがよく判らない(ゲートを表示する用じゃないのかと思われるモニターは消えっぱなしである)。注意しているとどうも都度「XX行きはX番ゲートへ」てなアナウンスをしているようでぼうっとしていたら聞き逃しそうだ。やがて呼び込みが始まって自分らは搭乗ゲートから飛行機へ…ではなく地上に降りた暑い。そこから「あっち」と言われた方に歩いて飛行機に乗り込む。席番が後ろの方だからケツから乗るか、と空いているタラップを昇って行ってきますジョグジャカルタ。携帯で向こうでのホスト、ポールとニーノにそれぞれ「乗ります」と送ってから電源を切った。

 飛行時間は1時間ちょっと、小さい機体のせいか結構揺れる。うむこれは…と思って隣を見るとイマイズミコーイチは速攻で寝ておる。着陸前の10分が結構キツかったけど何とか無事にジョグジャカルタに着いた。空港の入り口でいきなりミロタ・バティックのオーナー看板がお出迎えで縁起がいいのやらどうなのやら、今日泊めてもらうポールが車を寄越す、と言ってくれていたので探すと小柄な初老男性が待っていてくれた(彼のホテルのスタッフかも)。よろしくお願いします、と乗り込んでさて儂らはどこへ行く。2008年にジョグジャカルタで Q! Film Festival があった時に映画祭提供のホテルとして泊めてもらったのが彼がオーナーのDusun Jogja Village Innだったのだが、今回ジョグジャに行くよ、とポールに言ったところ「じゃあウチのゲストルームに泊まればいい」と招待してくれて、でかつ2008年当時に映画祭ディレクターだったニーノにも会いたい、と言ったら2人で相談してくれて2泊3日を一泊づつ、ということに相成りましたありがとうございます。なので今日はポールの家、ってどこだろうと思いつつ車は結構飛ばすのでメーターを見たら100キロくらい出ているが車内は至って平静で、イマイズミコーイチが小声で「この人、凄く運転が上手い」と囁く。


ジョグジャにようこそいらっしゃい

 超優秀ドライバー氏の車は見慣れた建物の、要は前回泊まったホテルに着いた。「僕の家」ってここか、と感に堪えないがともあれ6年ぶりのロビーで待っていると若いお姉さんがやって来て「ポールさんが二階でお待ちです。ああ荷物は後で運ばせますのでそのままで」と一銭も払わない日本人ズに大変優しい。フロント脇の目立たない小さな階段を上がると木造の巨大な扉があり、そこが開いてオーナー様が満面の笑顔でおでましで(去年日本で会ったので1年半ぶり)来ましたー。部屋の中には僕らよりもキャーキャー言ってる集団が居るので何だろう、と思っているとポールが紹介してくれる「彼女はインドネシアで有名な女優さんで、あと彼女のマネージャー(女性)、それとボクの彼氏」ということでここではさも一発で名前を憶えたような風に書きますが女優さんがイラ・マヤさん(おばはん)、マネージャーのキカ嬢、ポール彼氏のリー、と言う事で纏めて初めまして今日は。「隣にスーパーが出来たんだよ、今から行くから水とか欲しいものを買ったら」と言ってくれるのでみんなでぞろぞろ歩き出す。自分は無糖のお茶が欲しかったのだけどポールに聞いたら「無糖のは無いかなあ、甘くないのはミネラルウォーターくらいかも」という事で諦め、イマイズミコーイチはいきなりアイスを喰っておる。部屋に戻って、「今日は丘の上のレストランでランチに行くよ」とどんどん予定が決まる。このポールは結局何屋なのか判らない人なのだけど「唯一ホワイトハウスに出入りできるインドネシア」人、らしいので部屋にはオバマと撮った写真やらいろいろ飾ってありました。

 部屋に若い男性が来て、彼が運転してくれるようだ。ポールが僕らと映画の事を紹介すると妙に歓声を上げるが冷静に聞いてみると「すごいですね!」としか言っていないので判っているのか不明。まあいいです昼ご飯。車は次第に山の…いや平坦な道を爆走するので「丘の上」というのか聞き間違いか、却って下ってるような気もしますね、と言い合っているうちにやっと坂道を登り始めたので随分遠くまで行くらしい。車中では僕らへのサーヴィスなのか「日本の歌を知ってる」といきなりみんなで歌い出したのですが全く知らない歌、聞けば五輪真弓の『心の友』という曲で、インドネシアでは一番有名な日本の曲とのこと(逆に『恋人よ』は誰も知らなかった)。歌っているうちに車はものすごい傾斜を登り始め、「丘の上のレストラン」に辿り着きました。レストランは壁の無い吹き抜けになっていて、時間帯が半端なせいかお客は僕らの他に誰もおらん。ポールが「ここはオーガニックのレストランで、ちょっとスパイシーだけど大丈夫?」と訊いてくれるがともかく喰ってみます。「まずはコンブチャを飲もう」と言うので昆布茶がこんな山奥にも、と思ったら全然昆布茶ではなくやや白濁した甘い飲み物でした。料理はけっこう時間がかかっているようなので場持たせは女優イラ・マヤ(イラママ、と呼ばれていた)の独壇場である。凄い昔に日本に来た時、入管でインドネシア人と信じてもらえなかった話(どんな節穴管理官なのか)を大熱演してくれるので笑い転げる。


くれるの?

 料理が運ばれて来た。ご飯とお菜が一皿盛りになっているプレート、付け合わせは刻んだテンペ炒めとか似たような感じで自分のお菜は…思い出せない何でだろ、それ以外に来た掻き揚げみたいなのとか茄子の炒めたのとかパパイヤ葉の炒め物(凄く苦い)とかは憶えているんだけどとにかく辛い。こんな山中にも放し飼いのネコが居て、「ご飯ほしいな」って感じでテーブルに来るのだけどこれはあげられない。そして食事中もスパークするイラママでありました。あ〜喰った、と「ジョグジャを一望できる」テラスから写真を…でも麓は霞んでるわ何だか。帰る途中に断崖絶壁があり、夕陽をバックにジャンプする集合写真など撮ってこましてからホテルに帰宅する。ポールが「ディナーは近くに新しく出来たレストランに行くから、それまで泳ぐなり寝るなり好きなように」と言ってくれるので寝ようか、と思ったがリー(ポール嫁)がホテル内を案内してくれると言うので前回は探れなかったいろいろを見せてもらう事にする。全体的には記憶に近いのだけど、所々変わってるね、と言うと「2010年10月の地震(+ムラピ山噴火)でいくつか壊れて建て直したものもある。ポールの居室も前は別の場所だったんだけど、修復後に今の場所に変わった」だそうで実は自分らは噴火の一週間前までジョグジャに居たんでしたが、かなり甚大な被害だったようだ(まあその半年後にどでかいヤツが自分とこにも来た訳ですが)。「シアターもあるから、君らの上映をここでやったらいいよ」とリーは言ってくれる。

 で、あとは部屋で寝ていたような気がする。もぞもぞと起き出してディナーへ…、ドライバーは昼と同じ子(名前はアンタくん)でどうもここの常連らしい。今回は市内なのでそれほど長距離ドライヴではなくて夜の街中に着いた。店の名前は「第六感」だそうです。多分ここは創作イタリアンのお店、と言う事で自分はラビオリを注文する。実はあんましお腹が空いてない、というイマイズミコーイチはピザとサラダを注文していた。旨し、酒もうまい、と自分は一人でくすくす笑っていたがここでまたイラママが大暴走しだし、頼んだステーキがパサパサよ、と(半分以上喰ってから)叫び始めたのでオーナーシェフが飛んで来て言い訳を始める。ええとそもそもインドネシア人は良く焼いた肉を好むので、切った時にちょっとでも赤いとクレームが来ます。なのでどうしても中まで火を通してしまうんですがそうすると肉質によっては油が抜けてドライな感じになるので特製ソースを…ああソースが付いていませんね、注文時にウェイターが訊きませんでしたか?ああちゃんと確認してなかったんですね申し訳ありませんすぐに持って来させます(以下略)というのを隣で聞きながら自分はイラママのマネージャーとfacebookで友達になったりしてました。大抵の物は何を喰ってもうまい、と思える自分の味覚に感謝しつつ。


だいろっかん

 あ〜すごかった(ママが。車の中でもまだ肉がどうとか言ってた)、と帰宅して、ゲストルームもホテル客室仕様なのでシャワーを浴びて、寝ました。ところが結構蚊が出て来て私を攻撃し始めます。天蓋付きベッドのモスキートカーテンを閉めたり持って来た蚊避けを吹きかけたりムヒを塗ったりしましたが殆ど効果がなく、隣で爆睡しているイマイズミコーイチを羨ましく眺めながらわたくしはほぼ一晩中悶々としておりました。キッチンの冷蔵庫を開けて昼間買った水などを飲んだりして気を紛らわせて、それでも3時頃には一応寝られたのかな、さすがに徹夜ではなかったですが。

2014.0919 到着、ジャカルタ1日目
2014.0920 ジャカルタ2日目、『すべすべの秘法』上映
2014.0921 ジャカルタ3日目
2014.0922 ジャカルタ→ジョグジャカルタ1日目
2014.0923 ジョグジャカルタ2日目
2014.0924 ジョグジャカルタ3日目→ジャカルタ
2014.0925 ジャカルタ4日目、『すべすべの秘法』上映
2014.0926 ジャカルタ5日目、帰国