2014.0924 hari Rabu

 自分が先に眼が覚めて、外はもう明るくなっているのでカーテンを開け、たらタッセルが落ちてしまった。なんかマジックテープの残骸のようなものが付いているが、これまでどうやってくっついていたのか謎なくらいの粘着力でどうしたもんか、と寝起きの働かない頭で考えても仕方ないのでその辺に置いておき、部屋を出てリビングルームを眺めるとニーノとフランクがソファにいる、のだが海に向かって微動だにしておらず、しかも何だか座禅みたいなポーズをとっておるのでもしかしてこれは噂に聞いていたメディテーションってやつですか。3年に一回くらいだったらヨガとか面白いよね、という程度の自分はどうにも関わりづらいシチュエーションではありますがおいのび太お前もやれ、とか言って来ない限りはみんな仲良し、などと訳の判らない事を呟きながら気付かれないようにそろそろと部屋に戻り、まだ寝ているイマイズミコーイチを起こさないように注意しつつシャワーを浴びてからさもさっき眼が覚めました(ナイスベッド)、みたいな顔をしてリビングに再来すると瞑想は終わったようで「あ、おはよ」とホストくん(ちっこいインドネシア人)とホスト夫(でかいドイツ人)がにこやかに迎えてくれる。イマイズミコーイチ(日本人)を揺り起こして、朝ご飯ですよ。

 朝ご飯はちゃんとお客仕様で出てくるので何だか申し訳ないが肉魚のないフルーツと野菜+パン(オーナーが焼いてくれる)、で更に「ナシゴレンとか欲しかったら頼めるよ」とニーノが言うのでそれも喰っちゃおうかなあ、ともりもり平らげてお茶を頂き、さて海に行くよん、とニーノが言うので昨日も行きましたが、とは思うものの別にする事も無いのでまた車に乗り込む、一泊二日で夕方と朝の海を両方観られれば僥倖であろう。昨日と同じ道をぶんぶん下る途中でニーノはその辺のお店のおばはんに挨拶などしておる(おそらくこの小憎はご近所の名物小憎)。それにしてもあっかるいので全然景色が違う。レストランなのかお店なのか、同じ飲料のペットボトルすだれで全面を覆っている建物があってのけぞりつつ駐車場へ、相変わらず人は少ない。平日だしシーズンオフだからだけど、フランクによれば今頃でも週末はけっこう賑わうそうだ。ぽてぽて歩いて、昨日とは打って変わって晴れているのでわ〜い、とか言いながら東の方に向かう。切り立った崖の上にはホテルかな、いろいろ建っている。


楽しげな感じが伝わりますでしょうか

 海水浴場ではない、と言いつつフランクは海パン一丁になって海に入ったり戻ったり、自分らは務めて波の来ない所を選んで歩いて…いるはずだったのが段々砂浜が狭くなって気を抜いているとばっしゃあ、と水が来るのでズボンの裾を捲り上げつつ更に進むと砂浜は遂に岩場と一体化してこれはもう先に進めないね、と言いかけた所でニーノぼんは一人だけ先に行ってしまい、あれまだ先が?と思った瞬間に大波が来た。うっへえ、と引っ込んで岩の影から向こうを覗くとニーノぼんは岩の上でポーズなぞ取っておる(フランクが苦笑しながら「ね?」みたいな顔をしている)のでさすが地元民、と思いつつ自分は後を追ってずっこけたりすると元も子もないので大人しくボンボンがご帰還するのを待つ。確かにワイルドだ。そして各自のスマートフォンでいちいち自撮りをするわたくし達(ありがちなオチとしては水没ぽちゃん、ですが幸い誰もそんなことはせず)、ちなみにインドネシアは数年前まではブラックベリー大国でしたがニーノはiPhone(通知が来る度に稲妻のように光るのでビビっていたらフランク「寝るときは切ってもらってる」だと)フランクはXperiaで、ジャカルタのスタッフは大体iPhoneだったような、Windows Phone(わし)なんぞを使っている人などいやしませんでした。それはいいのですけれど私の愛機はバッテリーがあんまり保たないと言う事が判明する。暑いからか?

 散歩おしまい、でヴィラに戻る。フライトが16時なら14時に出ればいいね、送って行けないので車を出すから、とニーノは言ってくれる。ありがとう、と最後にまただらだらさせてもらう。昨日より風は強くなくて、イマイズミコーイチはテラスで寝だし、気が付くとニーノも隣で寝ている。実にピースフルなお昼時である。で、そんな平和な中にもトラブルはあったのでした停電しております。戻った時になんか暗いな、と思っていたのでしたがWiFiがつながらないのでどうしたのかな、と訊くと「ブラックアウト」との事で2ヶ月に一回くらいあるようでした。自分はキャリアの回線があるので(XLもまあ@ジャカルタ程度にはつながる)問題無し、ですがイマイズミコーイチのはインターネットが無いとどうしようもないので自分のからテザリングするがそもそもあんまり強く入ってないので滞っております。まあいいじゃないの、と気休めを言ってそれよりエレクトリシティーだね、というのもテラスはじっこの常温ジャグジーのぶくぶくが作動しないので入りたいんだけどお預け状態。小一時間うだうだやっていたらニーノが「電気きたー」とか叫んでるのでフランクがすかさずフットスイッチを踏むとめでたくぶくぶくしだしました。わーい、と(イマイズミコーイチを除く)僕らは水着になって結構冷たいジャグジーに入る。「やっぱちょっと寒い」とニーノは早々に出てしまって縁でポーズなどを取っているので撮影する。客寄せ用にこの写真をヴィラのウェブサイトに載せたらどうか、と提案する。客寄せ用なのでこの半裸のボーイさん(オーナー)は基本的に何もしません。


水仏陀

 服を着てニーノとたらたら話をする。「ここは上下階に2室づつ、合計4部屋ある。一棟借り切ってもいいし、フロア単位で貸しきりとかもできるよ。」ということでまあ、貸別荘ですね。日本人を泊めた事はあるの、と訊くと「あるけど、シンガポールとかインドネシアに住んでいる人だったから日本からのゲストは君らが初めて」だそうでした。そうだね、ジョグジャ市内にはまだ行ける距離とは言え、ジョグジャカルタを起点にボロブドゥールとプランバナンに、という旅程で選ぶべき感じのロケーションでもない。でも両親を連れてきたいな、と言ったら「是非是非」と言われる(まあウチの父親は頑として飛行機に乗らないでしょうし、飛行機嫌いな人が初めて来る空港としてはジョグジャカルタ空港着陸は厳しいだろう)。もしジョグジャ直行だったら多分シンガポールかクアラルンプール経由を使えばジャカルタ経由よりスムーズに安く来られそうだけど、そんな日は来るのか。ちなみにこのヴィラのウェブサイトはこちら。まだだいじょうぶ〜、とか言っていたら結構ギリギリになってしまったので急いで支度をして、2人と門の前でお別れをする。「今度はカリムンジャワにも来てね」とニーノは言うのだがそれはジャワ島の北100キロくらいにある島で、そこにもホテルを持っているのだと(ヤンエグ)。何でまたそんな所で開業、と訊くと「ヨットを停める所を探してたんだけど、ジャカルタの港の利用料が凄く高くて、探してたらそこが見つかったのでついでに家を建てたら泊まりにくる人が出て来て貸しだして何となくホテルみたいになった。弟夫婦がそこで働きだして、更に別の家を建てて、それも貸して…」とかやっているうちに4軒目を計画中、つうことのようでした(そして今年は2艘目のヨットを自分たちで造った、と言ってた)。ともあれ実にゆったり過ごさせてもらいましたありがとう、またね。

 ヴィラの人が運転してくれる車で(市街を通らないから渋滞には巻き込まれないと思う、とニーノは言っていた)40分くらいだったか、空港まで送ってもらった。ドライバーくんにお礼を言ってカウンターに向かう。来る時に発券はしているので自分の預け入れ荷物を渡すだけなのだが何か混んでいる。エアアジアだけでも複数便が飛んでいるので出発時刻が近い便を優先しているようだ、「ジャカルタ?」と呼ぶ声がしたので前の人を飛ばして受付してもらう。チケットを見て「このイマイズミと言う人は」と訊くので預け入れるのは自分だけだ、と言うと「イマイズミ、ノー?」と更に訊くのでそうだと答えるが、搭乗キャンセルだと思われてたらどうしよう。セキュリティーチェックを通って、相変わらずどこだか判らない搭乗ゲートを探しつつ、搭乗案内モニタは稼働してるんだけど自分らの便は到着とも遅延とも表示されないまま定刻が過ぎる。まあよかろ、とスポーツドリンクみたいなものを買って飲む。しばらくするとモニタにはまったく変化の無いまま眼の前のゲートに看板を持った人が立ち、ここから乗るようだ。さようならジョグジャ。


おまけ。海岸にあった腰が砕ける名前のカフェ

 行きよりは揺れずに飛行機は上がる。しかしまあ日本に一週間くらい来て東京と京都と大阪と富士山と…みたいな旅行をする人を元気だなあ、と思ってましたが今回の自分らも似たようなもんですね。ニーノにも「何でこんなに滞在が短いの(笑)」と言われました。でも2泊3日なら上等なんじゃないですか。1時間ちょっとでジャカルタに着いて、と携帯にファリドからメッセージが入っている。「ちょっとトイレに行ってるのでXXというドーナツ屋の前で待っててください」だそうで相変わらずこの人はマメである。荷物を引き取って歩いていたらドーナツ屋に着く前にファリドがやって来た。何か顔色が悪いけど大丈夫?と訊くと「昨夜食べたものに中ったみたいで、腹がちょっと」と唸っているので現地の人でも中るときは中る(あたりまえ)でテイクケアー、空港の外はもう暗くなっている。相変わらず凄い渋滞。今夜はどうしようか、とパンフを見ると特に観たいものもなく、強いて言えば『阿修羅の如く』をやるようなので(何故)それかなあ、とファリドに言うと「わかった、ただし道路状況が微妙なので約束は出来ないけど」との事でいいですいいですと適当に返事をして車窓の夜景を眺める。やっぱり4年来てない間にいろいろ建ってるわ、と思いながら。

 結論から言いますと阿修羅の如くには間に合いませんでした。まあよかろ、と帰って来たイビス・チキニホテルにチェックインをして(今回は初手から朝食バウチャーをくれた)そしてまたしても禁煙フロアしか空いていません空室が出るかどうかは明日11時に確認、という2010年から数えると2度あることは3度ある。ファリドは「どうしますか、今日の上映が終わったらみんなで夕食を、と言ってますが」と言う。そうだね、お昼も食べてないしそれに乗ります。「じゃあまた迎えに来ます。昨日マニラから到着したゲストがいるので彼も一緒に」とまたフィリピン人だそうで今回ほぼインドネシア人とフィリピン人としか交流しない☆廻りなのか、と訝しがりつつ部屋で休みましょう、とその前にホテルの前で一服して。


100% HUMAN

 で、再度のお出かけ。ファリドの言っていた「ニューフィリピン人ゲスト」は今『すべすべの秘法』一回目の上映をやったIFIにいるらしく、まずそこで彼とプートリを拾うらしい。会場には上映にも来てくれたリーさんがおりご挨拶など。ファリドが出て来たゲストくんを紹介してくれるがううむよく判らない(ゲイかどうか、と言う事ですが)ので初めましてのご挨拶をしてどの作品の監督なのか訊いてみる。彼、Zig Dulayの作品は『Missing』という短編で、カタログを見ても内容がよく判らない。作品解説に書いてある上映予定だと明日の16時からだから観られるかな、と思ったら別ページのタイムテーブルには19時と書いてあり、まんま『すべすべの秘法』上映とかぶる。どっちなんだ、と思うが彼も把握していないようなので(いいのか)その辺にいたプートリ(キャーお帰りなさい、とHUGたいそう)を捕まえて確認するとやはり裏番組のようなのでお互いの作品を観る、と言うのは不可能。彼は何故か「明日は君らの上映に行くよ」と言ってくれるがそういうわけにもいかんでしょう。さて次はプートリだ。ジョグジャのニーノからは「これ、プートリに渡して」とプレゼントを言付かっていた、というのも自分らがジョグジャに出発する日が丁度彼女の誕生日だったからで(ジャカルタの高級バーで最初の誕生祝いをしましたが)、ニーノはその紙袋になにやらメッセージを書いていた。「グロリアへ、マーティー&メルマンより」とあるのでなにそれ、と受け取る時に訊くと「『マダガスカル』知ってる?」との簡潔な返事があったので私はもちろんその映画は観ていませんっ、と言うのをおくびにも出さず「ハハハ、ナイス」とか適当に言ってから後でネットで確認しました。「グロリア(プートリ)へ、マーティー(ニーノ)&メルマン(フランク)より」なので要は「カバ(プートリ)へ、お誕生日おめでとう。シマウマ(ニーノ)とキリン(フランク)より」と言う事でした。カバガールは大層喜んでおったのでその場で写真を撮ってニーノに「任務、完了」のお知らせをいたしました。

 (中略)着いた店は新しくて、たぶんインドネシア料理のファミレスっぽい所なんだけど席がゆったりしていてなかなかよろしい。サミーも来ておる。メニューは広く浅くインドネシア各地風味の名物料理、という感じで基本はワンプレートのごはん、チキンサテー(焼き鳥みたいなもん)がうまい。「無糖なんだよね?」と念押しして頼んだ「ジャワティー」がホットだったのでややずっこけましたがうまいうまい、と平らげて、でもみんな妙に少食で随分残している。ファリドがまたトイレに行ってしまったので隣のプートリに小声で「何か彼、お腹こわしてるみたい」と余計なお世話で(でも多分直截は言いづらいんだろうなあ、と言う感じがして気の毒なので近所のおばはん風に)言っておく。プートリはやっぱり知らなかったみたいで「あら」などと言って戻って来たファリドに「大丈夫?」と訊いている。残ったご飯は全部テイクアウトにしているのでどうすんのそれ、とプートリに訊くと「これから映画祭の事務所に持ってってスタッフに差し入れる。したら『ごはんだ!!!』ってみんな食べちゃうわよ」と言う事なのでちょっと安心した。ごちそうさまでした、とお礼を言ってホテルに送ってもらい、水などを買って就寝いたします。

2014.0919 到着、ジャカルタ1日目
2014.0920 ジャカルタ2日目、『すべすべの秘法』上映
2014.0921 ジャカルタ3日目
2014.0922 ジャカルタ→ジョグジャカルタ1日目
2014.0923 ジョグジャカルタ2日目
2014.0924 ジョグジャカルタ3日目→ジャカルタ
2014.0925 ジャカルタ4日目、『すべすべの秘法』上映
2014.0926 ジャカルタ5日目、帰国