2008.0213, wed

 茫洋とした頭で目覚める。明らかに寝不足だが朝ごはん食べないと、と気合で起きてみると間もなくマティアスが来た。「携帯がつながらなくなったから心配になって」そう、昨夜シュワゥツ(ゲイクラブ)で電池が切れてしまいあれれれれと思っていたのだが、気の利くマティアスは充電器を持ってきてくれて「電話と一緒に返してくれればいいから」だそうで「じゃ、取材に遅れないようにね」と言い残して近所の自宅まで帰っていった。昨日のテープトラブルについて香港Jに国際電話。しかしよく喋るなあ。終わってからイマイズミコーイチと階下に下りていく。今日はシリアルを食ってみましょうかね、などと。テッペンくん、田口さんにヒロくんも起き出してきて朝日の中で(でもそんな溢れる陽光、ってかんじではない)パンパンパンハムハムハムチーズチーズチーズ。食べ終わって田口さんとヒロくんは昨日テッペンくんが見つけたという近所のスーパーに行ってみると言い出したので、自分も便乗させてもらうことにする。イマイズミコーイチは「へやでまたねる」ということでお留守番。

 ホテルから旧アンハルター駅残骸を正面に、ポツダム広場と反対方向に曲がってすぐのところにそのスーパーはあった。外からだと見過ごしそう。店内に入ると無音、BGM無し。日本のスーパーコンビニに慣れている自分には今日は何か事故でも?といった雰囲気だが空港の感じからしてこれが普通なんでしょう。微妙にやる気のない品揃えと陳列の中を水と、チョコレートと、なんかのスナック菓子とそれからイマイズミコーイチ用に歯ブラシ(絶対ホテルにある、と思って持ってこなかったのだと)、牛乳を買って帰ることにして、電話しながら仕事をしているにいちゃんのレジでお会計してホテルに戻った。


乳製品コーナー

 ロビーの「ビジネスセンター」(PCが2台あるだけ)にはいつも人が座っていてメールしたりしてるが、たまたま空いてたのでドイツ仕様の微妙に配列の違うキーボード(例:YとZが逆)でメールなどをチェックする。既に会ってしまった人からの「では、ベルリンで」といった連絡と、残りは膨大なスパムばかり。ふうん、とYahoo!を見ていたらヘッドラインに「映画監督 市川崑さん死去 92歳」とあってしばしフリーズする。ちょうど昨日、僕らがテープが壊れただのなんだので駆けずり回っていた頃に市川崑は世を去っていたのだった。イマイズミコーイチにはこれをどう伝えたらいいのだろう。部屋に戻るとまだ寝ている。自分はシャワーを浴びてベッドの隣に腰掛けるが、やがて目を覚ましたので自分は少しだけ頭に触って、「おはよう。あのね市川崑が、亡くなった」と告げる。彼は静かに「そう」とだけ言ってしばらく動かなくなった。少しして起き出し、僕が買ってきた「牛乳」に口を付けてみて「これ、コーヒークリーム…。」

 今日は上映がないので夜は空いているが昼間はインタビューと撮影である。香港J+マティアスの手配した今日の取材待ち合わせはあの「VA PIANO」という店だよ、と昨夜マティアスに直に教わったのだがその時は遠目だったので何屋だかは知らない。5人でホテルを出てポツダム広場まで、晴れているが十分寒い中を歩く。ベルリンの壁モニュメントの前では旧ソ連軍人みたいなカッコをした人が記念撮影を営業中。「VA PIANO」は更に横断歩道を渡った先にある店だが、入り口で異様に混雑している。入ろうとすると一人ずつカードを渡されて「中で好きなものを頼んで、カードに記録して出るとき精算」ということのようでした。見ると先客はみなピザやパスタをもりもり食っていて旨そうであるがしかし僕らは食べに来たわけではなくて(食べる取材だといいけどなあ)、とりあえずマティアスを探すがいない。携帯で彼に電話をしてみると「向こうは君たちの顔はわかるはずだからちょっと待ってみて。どちらも担当は男性だよ」と言う。よく判らないが(混んでるし)マティアスは来ないようだった。4人のところに戻ると2階への階段のところに男性がいて、僕らに用事があるようだった。「もしかして取材の人?」と聞くと「そうだ」と言う。彼はカメラマンらしいが隣には隣には別の男性がおり、「インタビューの約束をしてた者です」とか言うのであわてる。予定ではまず写真撮影、その後インタビューということになっていたのだが約束の時間を既に過ぎて会ったため、もう遅れている。仕方ないのでインタビュアーにちょっと待ってもらえますか、と頼むと「いいですよ」と言ってから元々全然別の取材陣2組は話し合い、「では同じ場所で撮影もインタビューもしましょう、外で」え、外。

 と言うわけでせっかくのあったかくてうまそうな店を出なくてはならなくなり(5人分の注文カードを返却する私たち)、どこへ行くんかなあと思っていると彼らは隣の芝生にやってきて「映画の中でのように芝生の上で撮りましょう」とそれぞれが準備をしている。芝生なのはいいんだけど日が当たってない…。てっきり室内撮影だと思ったので薄着の僕らは大失敗。田口さんはここでも「僕は遠慮する」と僕らの様子を撮ったりなどしており仕方ない、脱ぐか上着。案の定非常に寒い。一人ずつと集合と撮影は続き、しかしこのカメラマンは撮影中ほぼ何も言わないので果たしてどうしていいのやら判らない。最後、自分だけ居残りになって再撮影になってしまったがだって自分が一番撮られ慣れていないんだからどうせヘンな顔で写ってたんだろう。撮影後カメラマンに「あの、これは何のための撮影なんでしょう」と聞くと(バカ)「自分は雑誌2誌からの依頼で撮っている。一つはフランスの、もう一つのはオランダ」だそうでした。ふうん。


インタビュアーさん(右)

 さてお待たせしましたインタビュー、と見るとなんでビデオカメラがあるんでしょう。もしかして撮影なの、とマティアスに聞きたいところだがもちろんいない。インタビュアーの男性に今度は最初に「あの、これは何のための撮影なんでしょう」と聞くと(大バカ)「フランスのarteという所のインターネットTVです。監督のみのインタビューです」と言って自分に「英語話せますか」と聞くので「すこし」と答えたら「では通訳をしていただけますでしょうか」といわれてしまう。「私が英語で監督に質問します。あなたはそれを日本語に訳して彼に伝えてください。それから彼の答えを私に英語で教えてもらえますか」と言って始まったインタビューは以下のような感じ(記憶でのみ)

・この映画はメロドラマでもあり、コメディでもあるのでしょうが、私には非常に政治的なメッセージがこもった作品として受け取りました。そうした感想についてはどう思いますか?
・現在の日本において同性愛者がオープンでいることは容易でしょうか?

 このインタビューはここのどこかに載っている(かもしれません)。

 インタビューは僕とイマイズミコーイチだけだから、どっかで遊んできていいですよ、と残りの3人に言ってあったので田口さんとヒロくんは気づけば見えなくなり、テッペンくんだけ残って見ている。終わったらXX時XX分に合流しようね、と言っていたのだが予定外に早く終わってしまい、ここは日が当たらないので寒いから、と向こうの森の入り口に行くことにした。パノラマのオフィスに行くのでマリアに電話すると、「私は他の日本人ゲストのことがあるのでちょっと会えないけれど、オフィスにはいつでも来て」だそうでした。しばらく待っても2人は現れない。やがて携帯に電話、田口さんからだ。「いや、もうパノラマのオフィスに来ちゃったんだけど」あれれ誰だ2人が森の方に行ったとか言ったのは。じゃあ今から行きます、とパノラマオフィスに入る。どこだろうねえ、とビル内を探すがいないので僕らは関係者用チケットセンターへ、何を観ようかなあ。やがて2人と合流し、5人でパノラマオフィスに行くと、昨夜僕らと上映会場で会った女性スタッフが「おはようございます、昨夜はサバイバルでしたね」とか言うので何と言ったらいいものやら。曖昧な笑顔を浮かべて「ヤー」と返す。それよりその奥に座っているのは…パノラマ部門ディレクター、ウィーランド・スペック氏だ。彼が「Teddy Award」の創設者でもあり、来日時にわざわざ「初戀」のプレビューを観たい、と言って来たので自分はその試写を行なう財団にプレビューDVDを送っていたのだった。残念ながらその時に会うことは出来なかったのだが後日、同財団に行ったとき担当Sさんが「何だかとても気に入ったみたいで、DVD持って帰っちゃったんですよ。その代りにこれを置いていって『是非ベルリンへ来て欲しい』だそうです」と渡されたのが去年の「Teddy Award」授賞式の模様を収めたDVD(そんなものまで売っているのだ)、「来てね、ったってさ~」と4ヶ月前の自分たちは思っていたのだがどういうわけか今はパノラマオフィスで発泡水などもらっている。

 自分はスタッフの女の子に「ウィーランドに紹介してもらっていい?」とお願いする。すぐにやってきた彼は、予想していたことではあるがでかい。ようこそ、と挨拶してくれるので「映画を選んでくれてありがとう」と日本から持ってきた土産(栗かのことサントラCD)を渡して、イマイズミコーイチを交えてしばし話す。今回はこの人に会うことが主眼の一つだったのでたいへんうれしい。さてイマイズミコーイチと「ラヴリー」「ユーツー」などという会話を続けているのをちょっと中断させていただき、ヒロくんが取材したいというベルリンゲイ情報をウィーランドに聞いてみる。昨夜同じ質問をしたジョン・バダルからは「パノラマオフィスにはゲイ雑誌もあるし、お店情報に詳しい人もいると思う」と言っていたのでじゃあここのボスなら適任を紹介してくれるだろう。案の定ウィーランドは僕が訳したヒロくんのリクエストに「あ~、自分があと20歳若かったらいろいろ教えてあげられたんだけど残念、もっと若いヤツに聞いたほうがいいよ」と軽くかわして自分の席に戻ってしまい、ウィーランドに呼ばれた男の子(実にシブくていい声)がヒロの取材に答えてくれた。彼はオーストラリア出身なのでベルリンについて地元民としては話せないけれど、といいつつ昨日「シュワゥツ」で入手したゲイ雑誌(フリー)に載っている地図を見ながらいろいろ教えてくれる。「ベルリンはとてもオープンな土地柄だから、ゲイにとっては暮らしやすいと思うよ」と付け加えてくれた。ありがとう。


パノラマオフィスはここの4階

 テッペンくんはやはり日本から来ている友達に会うというのでここで一人別れ、残り4人はさっきの「VA PIANO」で遅めのランチにすることにした。さっきのお姉さんじゃありませんように、と思いつつ扉を開けたらレジの所にいたのはやはりさっきのお姉さんですいません、また来ました。イマイズミコーイチと田口さんがピザをそれぞれ一枚ずつ、自分とヒロくんがパスタを一人一皿頼み、みんなで適当に手を出すことになった。自分はヒロくんと"PASTA"のコーナーに並ぶ。麺の種類を選んでからソースを選ぶと目の前で作ってくれる。麺は乾麺でも冷凍でも無くて、何か不思議な半生状態のものをタッパーから出してきてさっとお湯に通す。自分はバジルソースのリングイネでヒロくんトマトペンネ、さてピザは、とイマイズミコーイチがマルゲリータ、田口さんがルッコラのトマトピザ。ピザはいちいちでかい。全部注文を終えるとシェフが渡したカードに「ピ」とデータを通す。さて麺は食ってみると妙にコシが、ピザも全部うまい、と食って会計をすると何でか自分だけパスタ2個分の請求になっており、一人戻って「なんで」と聞いてみたら僕のパスタを茹でたシェフに質問したマネージャーは「申し訳ない、間違えて2つ押してしまったようです」と払い戻してくれた。一人2000円くらいだったかな。

 ホテルに戻り、夕方から出かけることにする。ちょっとゆっくりしよう、と部屋でそれぞれ休み、地図でルートを確認したりしていたら何もしていないのに夕暮れ、そろそろ行かないと。冬の町をゲイバー取材の巻である。出発前、ホテルの掲示板に自分の名前らしきものが気が付くと書かれており、何でしょうと聞いてみたらやはり自分で「国際電話をかけすぎているので今払ってください」だそうで今朝香港Jに掛けた電話がいちまんえん以上になっていたのでした。土手っ腹に来るわ。渋々払ってこんな目に遭わしたベルリナーレ許すまじ。絶対払わせてやる、と決意を新たにしたのでした。ちなみに使いすぎて僕らの部屋は国際電話を止められていました。とほほ。

 ホテル最寄りのSバーン、アンハルター・バーンホフ駅からだとポツダム広場で乗り換えないといけないので、ちょっと歩いてUバーンのメンデルスゾーン・バートロディー・パーク駅まで行き、そこから電車に乗ってツォー駅へ。電車は不思議といつも混んでいないのだが、電車自体もボタンを押さないと扉が空かないようになっている。なので閑散とした駅ではホントにドアも開かない。駅を出ていきなりアーケード商店街にアダルトセックスショップがありイマイズミコーイチは大喜びする。ここで携帯が鳴る。電車の中でも自分の携帯にテッペンくんから電話が掛かってきていたのだが電波が悪くかけなおしてきて、ツォー駅を出たあたりでやっとまともに会話をする。「『めがね』」のプレミア上映に入れてもらえるそうなんですが、みなさんいかがですか?」今年のパノラマ部門における日本作品はこの「めがね」と「初戀」だけなので出来れば行きたいのだが、これからいろいろ巡ることを考えるとちょっと間に合いそうにない。せっかくですがご遠慮させていただくことにし、監督にどうぞよろしくお伝えください、と切る。巡礼再開、クーダムへ向かっていけば目指すものはあるはずなのだが…。どう考えてもこの地図で見るとすごく近そうに見えるのでいけないがもしかして遠いのやら。道は合っているはずなので若者向け洋服屋に入って聞いてみると「そこは知らないけど、番地からするともっと向こう」と教えてくれた。やっとたどり着いたそこ、HIV啓発センターは残念ながら10分前に閉まっており、複合ビルの他の使用者が出てくるのに便乗して共用部分にまでは入れたもののその先へはどうしようもなく、出てきた女の人にこのセンターの人はいるかな?と聞いたら「もう閉室時間だし、誰もいないと思う」との事なので断念。明日時間があったら来ようかね。


今日は18時まで

 初手から閉まっているという幸先の悪い取材スタートでしたが、たらたら次のエリアへ向かって歩いているとおもちゃ屋があり、乗り物模型がメインの大人向けの店のようでした。ちょっくら覗いていきましょう、といちいちやたら高い模型&パーツにふへー、と言いつつもちょっと興奮してタダのカタログをもらってきました。これまでの経験で地図が日本の感覚と全然違う、ということは身に沁みつつあるので目の前に駅が見えたらあ、あそこから電車に乗って行きましょう何度乗ってもおなじで値段だし。相変わらず僕ら以外には誰もいないウィッテンベルグプラッツ駅のホームでしばし、日本人が好き放題にして「うなぎ食いたい」などと言っております。

 次のノーレンドルフプラッツ駅で降りる。乗ったのは一駅だけだがおそらく歩いたらかなり消耗したはずだ。この辺りにジョン・バダルは泊まっている(「ベルリンで僕が泊まっているのはゲイエリア」と言っていた。この人はどこへ行っても…)はず。パノラマのスタッフに聞いていろいろ教わっていたのだが、まずはショップに行きましょう、と「Bruno's」という店を探す。ええと駅がこっちで、この道がこう交差しているから…あ、方角が違ってるわごめん、とかなり進んだ道を逆戻りして駅を通り越し大通りに出、こんな幹線道路沿いにあるもんだろうか、と思いつつあ、あった。ベルリン名物両手を上げるクマ(そこらじゅうにある)の虹色バージョンがあったりするが、既に暗いので気づくのが遅れる。店のショウウィンドウにはでかいマネキンやら写真やらあって「ずうっと」向こうまで続いている。かなり大きな店のようだ。入ってみると基本は本屋&DVD屋、かなり広大な売り場面積である。雑誌、写真集、ペーパーバック、DVD、ポストカードであらかた埋まっていて、イマイズミコーイチなどがひそかに期待していたらしい「ドイツが今熱いらしい、ごっつい器具」などはごくごく控えめ。フィスト用のローションがクールなデザインでした。そのうちヒロくんが「ここのスタッフにうインタビューしたい」と言うのでレジの男性に聞いてみるが困った顔をして「ここは大きな出版社が経営しているショップなので、経営部の許可無く勝手に取材を受けるわけにはいかない、もし申し込みたいならここへ電話を」とメモを渡してくれる。むー、ヒロくんが最初に言っていた「スタッフに話を聞いて、あとはちょろっと写真を」とかいうのが何だか大仰なことになってきたぞ。店の外で電話する。話が通じず切られる。二度目、今度は話を最後まで聞いてくれたが結局「ここに判断できる人間がいないので、明日の朝10時以降で電話をかけてくれ」だそうでちょっと無理や。とヒロに伝えると「仕方ないです。では他へ行きましょう」つうわけで若干の買い物をしたあとで外へ出た。


まあこんなの、店内撮影のご当地ポルノDVDも置いてました

 次はどうしょっか、バーってまだ開いていない時間かもね、と「Bruno's」の隣を見ると、そこもやはり何かゲイ向けのスペースみたいである。レッドリボンが付いているポスターもあるし…と外からは何の為のスペースか判断付かないけどオープン中のようなので入ってみました。が、入ってもよく判らない。テーブルを囲んでソファがおいてあるエリアもあるし、バーカウンターもあるし、ポストカードやパンフレットのラックもかなり大きいのがあり、と思えば入って左手には市役所の受付窓口みたいなところに人がいるのでまずは聞いてみましょう、となし崩し的に取材開始で第一声が、「あの、ここは何ですか?」応対してくれた男性は別に怒り出すでもなく親切に「ここではいろいろなことをやっているのですが、まず柱としてはフリーペーパーの発行ですね」と取り出してきたのは他でもない僕らが持ってる「ゲイ雑誌」。これはここで発行なんですか。「あとは、年間を通じてイベントの宣伝などもやっています今はこれ」と差し出されたのは「レザー&フェティッシュコンテスト(だったかな)」、ストリートイベントなどへの宣伝サポートなどもやってるそうです。

 「それと、見て判ったかもしれませんがHIV/AIDSの予防啓発も行なっています。特定の日にスピード検査を受けることが出来ます。あとは精神的に不安定な人への心理療法士によるケアだとか、各都市のゲイマップを出すとか…」で何でもやっているようでした。ヒロが最後に「日本ではゲイのHIV感染者が増えています。それについて何かコメントしてもらえませんか」と聞くと彼はちょっと考え込んで「私は日本のことはほぼ何も知りませんが、とても違う文化・社会背景を持っているということは知っています。なので、ベルリンやドイツの現状についてはいくらでもお教えすることは出来ますが、今ここで日本のHIV状況について何か言うべきではないと思います」と答えた。ベルリンではゲイの若年層での感染が増えているとの事でした。引き続き彼は親切で、いろんなパンフをくれたりフライヤーの説明をしてくれたり、とても親切にしてくれた。写真を撮ってもいいですか、と聞くと「僕のピンは遠慮したいけど、中の様子はもちろんいいよ」との事だったんで自分は全然取材でないので気楽にトイレ前とかを何枚か撮らせてもらいました。


トイレットペーパーも撮らせていただく

 僕らがお話を聞いている間、田口さんとイマイズミコーイチはソファでコーヒーなど飲んでいたらしかったが、さて帰ろうかと促すとイマイズミコーイチ、「このソファがまたいいソファで…」と眠そう。次はバー街だ、と地図によれば密集している地域に向かう。が、すぐにそれは地図でイメージするより一軒一軒が離れているということが判る。まあ平日の夜早めですから。と田口さん&ヒロはぽつぽつ見つけたバーを撮っていく。途中とつげきレポートをしたレストランで断られたりしつつ、だんだん概観写真は撮れていっている模様。ただ、新宿などと違ってお店がダーッと並んでいて一目で判るといった景色ではないようなのだった「Queer Berlin」マップを見ると結構そんな錯覚に陥るのだけれど、スケール(縮尺)が違うということなのでしょう。

 ここらで自分らは2人と別れてジョン・バダルに誘われていた「Queer Programmers Meeting 2008」というものに行くことにした。ベルリンには本当にいろんなところからL&G映画祭関係者が集まるので、この機会に情報交換ということのようです。場所はメモを見たら昨日行った「シュワゥツ」、なら判る(方向わかんないけど)。タクシーを拾ってジョンにもらった住所を示すと運転手さんは「うむ」という感じで走り出した。おそらくそんなに遠くない。どこも似たような通りだなあ、と思っていたらすぐに着いてしまった。表のレストランをずんずん通り抜け、昨日はドアボーイがいたが今日は無人のカウンター前をすり抜けて入っていくと帰る人たちとすれ違う。たいていの人は粘着テープに自分の映画祭と名前を書いたものを身体のどっかに付けている。入っていくとジョンがいたが、なんか終わったっぽい。「10時」と聞いていたのだがパノラマにあった案内には「8時」とあって、自分が聞き間違えたかという気がする。ヴィッキー(香港LG)が探してたよ、とジョンに言われたが既におらず、ジョンの隣にはインドネシアの映画祭で会ったプートリちゃん(テディの審査員)がいるが、他にはあまり居ない。アメリカの映画祭の人が話しかけてくれてちょっと会話をしたが、あれ見覚えのある顔が、と思うとクロアチアのZだ。こいつは何度も会っているのに結局僕らの過去作品を落としたので宣伝してもなあ…と思いつつ一応話しかけたら相変わらずの暖簾に腕押しっぷりでして脱力。あとはヒマなのでイマイズミコーイチと「オレを落とした男たち(女もいる)」観察をしていたがやがて夜遅くなって店が通常営業になったらしく関係なさそうな人がどかどか来始め、気づけばジョン達もいなくなったので帰る事にした。

 タクシーでホテルに帰ると時間はまだあんまり遅くなかったのだが今日は疲れたさむい、ので寝ることにした、つうかイマイズミコーイチはすでに布団にもぐりこんでいる。少しだけおなかが減ったので今朝スーパーで買った何かのスナックを食べつつぼんやりする。夜出かけるところが限られてるねえ。あとでそれぞれの部屋に電話したら(内線は通じる)テッペンくん、田口さん+ヒロくんもそれぞれ帰ってきたのを確認し、ちょっと用事があって田口さんたちの部屋に行ったらビールを一本いただいてしまい長居、すいませんでしたと帰ろうとすると田口さん「あ、言うのをずっと忘れていたんだけど荷物、届いてるから」だそうで申し訳ないながら僕らも忘れてました。やっと。英国航空のバカ。


2008.0211 ベルリンへ
2008.0212 プレミアまで
2008.0212 プレミアから
2008.0213 オフ、撮影1件、被取材1件
2008.0214 上映二回目、Teddy Award
2008.0215 上映三回目、被取材1件
2008.0216 上映四回目
2008.0217 帰日