2010.1009 SAT

 眼が覚めたのは10時くらいではなかったかと思う。先に起き出していたイマイズミコーイチが「インターネットがつながらない」と怪訝そうな顔をしているので見てみると昨夜はあった「Nino's Hotspot」とかいう本人のキャラクターからするとけっこう風俗店みたいな電波は無くなっており、ホントだつながってないね、と部屋から出て、彼のオフィスに向かう。主の坊々は確か午前5時に出ると言っていたはずで既に姿がない。一応「起きられたら見送るね」とか言ってたんだけどもしかして本当に昨夜が最後だったのかも。さて宅内無線LANなんだからどっかにルーターがあるはず…であったあったこれか、つうかPOWERランプも点いてない、ってことは電源抜いて行っちゃったんだな。コードをたぐってみると電源とつながっているコンセントはスイッチ式になっているので刺さったまま電気が切れている。これを入れれば…と点いた。確認したらニーノのホットスポット1号店は開店、どうも省エネ小僧らしい(そういや初めて会った時に「環境問題を学びたい」とか言っていたような記憶がうっすらと)。


曇り空

 窓の外は厚い雲がたれ込めていて、雨になりそうだ。「イワサくんが寝ている間に結構降ったんだよ」とイマイズミコーイチ。言われてみればベランダが濡れている。せっかくの海外なのに雨なんて、と普段であれば言うところだろうが今日から3日か4日か5日くらい(未定)は恐らくほとんど出かける事もないだろう、何故なら移動手段が無いからです。ニーノは「パパに言えば車を出してくれる」とは言ってくれたもののご尊父をドライバー代わりに毎日働かせるのも悪すぎるし、何より自分らはけっこう体力が摩耗している。しばらく又は当分何もしないでいたいので、雨かもねえ…とつぶやくだけ。ひらすらうすらぼんやりしているわたしたちのところへパパ(無論ニーノのパパ上である)が「ごはんできたよ」と呼びに来てくれる。わあい、とバタバタ食卓に行くとママ(無論ニーノのである)がほらお食べ、といった感じで「インドネシアン・フード」と言って笑う。ハーブとか野菜は多分ここんちで作ったものだな。食べてみると以外とスパイシーな葉っぱもあってちょっと注意であるが、基本的にすごくおいしい。昨夜まで一日以上、機内食を食べ続けていたので普通にお皿に盛ってあるだけでうれしい。

 食事中も隙あらば猫が膝に乗ってくる、確か二年前にも会っていて昨夜ニーノも「タイガー」と呼んでいたその名前にも憶えがあるのだけど今回来てみれば2匹になっており元々2匹だったか?どっちがタイガーか?と混乱する。やたらなついてくるのが1匹だけなのか、それとも替わるばんこなのか、似過ぎていてよく判りません。ご飯のあとで部屋にも付いて来てどこへ行くにも一緒になる。自分はおそらく猫アレルギーなので、かわいいんだけどちょっとまずいかな特に疲れているときは、と思っているとやっぱり眼が痒くなってきた。ごめんねちょっとあっちに行っておいで、と猫はイマイズミコーイチに任せ、自分はたらたらメールを綴る。バンクーバーでお世話になった方に(ほとんどの人にちゃんと最後のさようならを言えなかった)「お世話になりました、僕らはいろいろあってインドネシア山中におりますが、またお会いしましょう」と写真と共に書き送る。1日半くらい前はカナダに居たんだったよねえ、おかしいなあ。ああそうだ、きっとここのパパもママも僕らの名前がよく判っていないであろう(何か用があるときも微妙に名前を呼ばれなかったような気がする)、お世話になるので名前をどう呼んだらいいのかお伝えしとこ、とその辺の紙に自分らの名前を書いてパパにお渡しする。すると後になってプールサイドに居た僕らのところにやってきたパパはお返し、なのかどうかパパ&ママの名前を書いた紙片をくれたのだった。まあこっちがファーストネームで呼びつけにする機会は無いかとは思いますが。


な〜

 猫は断続的に寝こけている僕らに添い寝していたかと思えば次の瞬間には縦横無尽にそこら辺をかけまわり(鴨居から飛んだりとか)、イマイズミコーイチはベランダなどの、死んだ虫にたかっている蟻などを飽きもせず眺めている。ここの家はひどく開放的、というか隙間だらけなので虫も入り放題で、でも日本だったらきっと大騒ぎするであろう蜂もコガネムシも入って来たら来たで「ああ外へお行き」てな感じでさっ、と払うとぶぶぶぶぶ、とまたどこかへ飛んでいく。昨日までの急いた時間が嘘のようにのったりのったり、かつあっという間に流れていきます。「プールサイドで執筆するのだ」とイマイズミコーイチは言い出して、一階のバーを抜けて外のプールに出る。やおらMacBookを開くと、これまでの日録を付けているようだ。雨は急に降り出したり、また止んだりで自分は水面にできる波紋をただただ眺めていた。しばらくするとパパ上がお盆にごってり揚げ物とお茶+コーヒーを持ってお出ましになり、ニコニコしながら渡してくれる。おやつだ、うれしい。カラッと揚がったそれはフライドチキンに見えなくもないが食べてみるとバナナのフライで、見た目より全然しつこくない。美味しいねえ、でも完食したら夕飯が食えない、と残したバナナを紙ナプキンに包み、それをこっそり部屋に持ち帰る。

 雨なのと、山の中なのでかなり涼しいため泳がず、プール越しに日が暮れるのを見届けてから夕飯をまたたっぷりいただき、部屋に戻ってベランダに出ていたら音楽が聞こえてくる。ガムランだねえ、どこかで放送してるのだろうか、でもなんか演奏前の音出しみたいな感じだけど、と思っているとかなり近くで曲が始まったのでこれはもしかしてこの家か?と階下に降りてキッチンのある「本館」の方に行ってみると、この家にはガムラン用の楽器一式が入り口付近にあるのだが、そこに十数名の知らない人が集まって演奏をしている。おおお、とよく判らないながら近くのソファに座って聴く。パパもママもいない(要は観客、僕らと猫だけ)し、曲が終わっては譜面を見ながら何やら話し合っているので、これは毎週土曜の練習、みたいなものかもしれない。けっこうちゃんと「歌」のあるガムランは初めて聴いた。そしてとても耳に心地よい。イマイズミコーイチはいつしかソファに上がって来た猫と一緒に眠り込んでおり、自分は猫の肉球とか撮り放題である。途中、休憩らしくてこちらに煙草を喫いに来た男の人はよく見たらここんちで働いている人で、何か話しかけてくれるのだが英語が通じないのでお互い仕方なくへへへ、という感じで笑う。演奏は2〜3時間やっていたと思う。やがて見知らぬ皆さんは「じゃ、おつかれさま」といった感じで帰っていき(どうやって帰るのか、近所か?)。あたりはまた静寂に戻る。しかし、いいものを聴いた。


楽団

 そろそろシャワーを浴びて寝ようか、でもビール、と下のバーの冷蔵庫から瓶のビンタンを取り出し(ニーノからは飲んでいいよ、と言われていた)さっきのバナナを食べようか、と見てみると蟻がたかっているので慌てて振り払うと中身は無事、ティッシュに付いていただけだったので急いで食べて、グラスに注いだビールを飲んで、先に布団に乗っていた猫を避けて横になる。寝ている間にひどい事しないといいけど(自分が)、と思いながら。


インドネシア・ジャカルタ編
2010.0929 成田発仁川経由ジャカルタ行
2010.0930 二泊目
2010.1001 三泊目
2010.1002 「傘脱」上映

カナダ・バンクーバー編

インドネシア・ジョグジャカルタ編
2010.1008 香港経由ジャカルタ経由ジョグジャカルタ行
2010.1009 二泊目
2010.1010 三泊目
2010.1011 四泊目
2010.1012 五泊目
2010.1013 ジョグジャカルタ発バリ行

インドネシア・バリ編
2010.1014 クロボカン2時間徒歩
2010.1015 長編1本
2010.1016 バリ発ジャカルタ経由仁川経由成田行